伝統的七夕の話題から、古典の中の七夕について、少し調べてみたりしている。
ふと思ったのは、「源氏物語」における七夕のこと。
季節の移ろいゆきの描写を重んじた源氏物語であれば、当然のこととして七夕のシーンがあったような気がする。ただ、あんまり印象に残っていない。光る源氏がいずれかの姫君と織姫や彦星について語り合ったようなシーンは思い出せなかった。
調べてみたら、源氏物語で「七夕」が出てきたのは、1か所だけ。
光る源氏の晩年を描いた「幻」の帖だ。
源氏52歳。最愛の妻「紫の上」の先立たれ、もう恋の熱が蘇ることもない。
そのため、七夕になっても、暗い歌を一人で詠うだけだ。
(源氏)「 七夕の逢ふ瀬は雲のよそに見て
別れの庭に露ぞおきそふ」
http://www.genji-monogatari.net/html/Genji/combined41.3.html
なぜ、紫式部は、七夕というものをこのような形でしか扱わなかったのか。
ちょっとした問題であるようにも思われる。
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