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2016年12月12日23:59

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健康之雑談帖(その29)―インフルエンザにかからないコツ

わたくしは此処数年来、会社で打つ予防接種の御蔭かどうか、有難い事にインフルエンザの流行期にあっても、インフルエンザには罹らずに―一昨年、昨年と暮になって風邪を引いたりしますが―過ごしております。昔々(こればっか)、初めて香港風邪が上陸した際には真っ先にやられて、随分苦しい思いをしたものであります(この時は学級閉鎖になりました)。さて、インフルエンザにかからぬコツなるものはあるのか否か。

<引用開始>

インフルエンザにかからないコツ(1)ワクチンは効かない?

さて、12月です。例年必ず12月下旬にインフルエンザの小さな流行があり、年明けの1月下旬から2月にかけて大流行があります。今年はすでに11月下旬にインフルエンザが流行入りしたと報じられています。どうすればインフルエンザの感染から免れることができるのでしょうか? 100%確実な方法はないにしても、少しでも確率を減らせる予防手段はあります。今日はそういった工夫について書いてみます。

◆そもそもインフルエンザウイルス感染症とは?
風邪とは、上気道(のど・鼻)にウイルスが感染して炎症を引き起こした状態です。風邪の原因となるウイルスは、200種類以上存在すると言われています。これらを大きく5つのグループに分けると、ピコルナウイルス・コロナウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルス・パラインフルエンザウイルスとなります。では、インフルエンザも風邪の一種でしょうか?私はおおむね、そうだと思っています。しかし、インフルエンザには普通の風邪と違った2つの特徴があります。

1.症状がきつい…発熱・鼻水・ 咳せき という症状は普通の風邪と変わりありませんが、体の節々が痛むとか、全身 倦怠けんたい 感とかはなかなか 辛つら いものがあります。発熱期間も普通の風邪に比べて1〜2日、長い傾向があります。しかしながら(当然ではありますが)「軽いインフルエンザ」と「重い普通の風邪」を比べれば、後者の方がダメージは大きいです。

2.インフルエンザ脳症に陥る危険性がある…毎年我が国では数百人の子どもがインフルエンザ脳症にかかっています。脳症に対する診断と治療は年々進んでいますが、それでも脳症の10%近いお子さんが命を失います。そして、15%くらいのお子さんは脳に後遺症を残します。なお、インフルエンザ脳症は「早めの受診で、早めのタミフル(などの抗インフルエンザ薬)で」未然に防ぐことはできないと考えられています。脳症は急激に発症するのであって、インフルエンザがなかなか治らずにこじれて発症するわけではありません。

つまりインフルエンザは、風邪は風邪でも風邪の親玉みたいなものです。こんなウイルスには、誰だって感染したくありませんよね。では、どうやって防げばいいのでしょうか?

◆インフルエンザワクチンは有効か?
結論を先に言えば有効です。ただし、ちょっと説明が必要です。子どもは、大人に比べてワクチンをうっても免疫がつきにくいとされています。従ってワクチンの有効率も成人に比して低いと考えられています。ワクチンの有効率とはなんでしょうか?たとえば、ある小学校の1年A組と1年B組を頭に思い描いてみましょう。A組の生徒は全員インフルエンザワクチンをうつとします。B組の生徒は全員ワクチンをうたないとします。真冬になってA組の中から7人のインフルエンザの患者が発生します。一方、B組からは10人の患者が出ます。その差は3人です。3を、B組の患者数の10で割ると、30%という数字が出てきます。この30%を有効率というわけです。
そして実際、子どものインフルエンザワクチンの有効率は、毎年変動するものの、おおよそ30%くらいと見られています。

「え、たったそれだけ!?」と思いましたか? 確かにそれだけです。しかし、確実に 罹患りかん 率は減ります。実はかつて日本は、インフルエンザワクチンは学童に対して集団接種されていました。ところが、その効果が疑われたために1994年に中止になりました。そして、1990年代後半からインフルエンザ脳症が増えていったという事実があります。インフルエンザ脳症を防ぐには、インフルエンザにかかることを防ぐしか方法はありません。早めのタミフルでは防げないことは前述した通りです。従ってワクチンこそが子どもからインフルエンザ脳症を予防する方法という意見が、小児科医の間では根強くあります。

◆ワクチンはインフルエンザの重症化を防ぐ?
厚生労働省のホームページを見ると、インフルエンザワクチンには、もしかかった時の重症化を防ぐ効果があると書かれています。しかし、重症化ってなんでしょうか? 大人ではたしかに、肺炎になったり入院になったりする確率が減るようです。しかし、小児では高齢者と異なって、そもそもインフルエンザから肺炎になって入院になるようなケースはめったにありません。
私の個人的な印象では、ワクチンをうっているお子さんはインフルエンザにかかっても比較的早期に治るように見えますが、科学的な根拠があるわけではありません。「ワクチンはインフルエンザを軽症で済ませる」という説には、必ずしもすべての小児科医が同意しているわけではないことは言い添えておきます。

こんなことを書くと、まるで私がインフルエンザワクチンに消極的のように見えてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。お子さんに2回のワクチンをうつと7000円くらいかかりますが、「我が子の健康にお金をかけずに一体何にお金をかけるの?」 と私は思います。ワクチン「否定派」の人たちの論調は、やれワクチンは効かないどころか毒だとか、やれ製薬会社の陰謀だとか、壮大なストーリーを持ち出してきます。私は、ちゃんと「子どもには免疫がつきにくい」ことをパンフレットに明記してクリニックで配布し、その上で患者さんにインフルエンザワクチンをうってもらっています。もちろん、うちの家族も、クリニックのスタッフの家族も全員、毎年ワクチンをうっています。インフルエンザワクチンは12月の下旬までうてます。まだの人は、主治医に相談してみてください。

◆うがい・手洗いは有効か?
インフルエンザは発熱の1日前から感染力があると考えられています。したがって、家族や集団生活の中でインフルエンザを広めないためには、常日頃からの対策が重要になります。インフルエンザの主な感染経路は、くしゃみや咳によるウイルスの 飛沫ひまつ と考えられています。1回のくしゃみや咳によってウイルスが大量に、それも数メートルの範囲にまで飛散します。飛んできたウイルスが目(角膜)や鼻の粘膜に付着すると、感染が成立する危険があるのです。また密閉された空間において、空気中に大量にウイルスが漂っていれば、そういったウイルスを気道(鼻や口)から吸い込むことになります。

さらに、くしゃみや咳によって、唾液や鼻汁が飛び散ります。自宅の中のテーブルや椅子、ドアノブなど、あらゆるところにウイルスが付着しているかもしれません。幼稚園や保育所(園)、学校などでもそれは同様です。様々な遊具にウイルスが付いているはずです。会社勤めをしている人は、電車のつり革やバスの手すり、あるいはオフィスの事務用品に付着したウイルスに触れているかもしれません。ですから飛沫ほどではないにしても、手を介した感染も可能性としてはあるでしょう。

こうしたウイルスを遠ざけるには、どうしたらいいでしょうか? 普段私たちが習慣としているのは、うがい・手洗いです。うがいは、「風邪」の予防方法として常識とされています。海外の友人に話を聞くと、あまりそういう習慣は欧米では日本ほどないようです。うがいが有効だという理屈は、口の中・のどに付いたウイルスを洗い流すということです。だけど、少し疑問があります。では鼻の中はどうなのでしょうか? のどを洗うということに関しても、粘膜にウイルスが付着すればたちまち感染が成立しますから、間に合わないのではないでしょうか?

しかし、私はうがいの効用を全部否定しているわけではありません。うがいの意味は口内の環境を衛生に保つことにあると思います。1日3回、歯磨きをして、合間にときどきうがいをすれば、口内の清潔はかなり保たれます。そうした環境では、ウイルス感染が起こりにくい可能性は十分にあります。

 手洗いの効用については、インフルエンザに関しては何とも微妙です。手を介する感染は、飛沫と比べればはるかに少ないと考えられるからです。ただし、冬季はインフルエンザだけでなくウイルス性胃腸炎も必ず子どもの間で大流行しますから、手洗いが重要であることは間違いありません。一日に何度手を洗ってもいいでしょう。家族全員が手洗いの習慣をつけて、まめに手を洗うことが大事です。

その際に、可能ならば家族一人ひとりにタオルを用意しておきたいところです。タオルの共有は、ウイルスが広まる大きなリスクです。洗濯物が増えて大変ですが、各人が自分の好みの色によって専用タオルを分けておくのはかなり有効だと思います。

◆では、マスクは有効か?
風邪の予防としてマスクをする文化は、ほとんど日本だけのようです。ウイルスは電子顕微鏡を使わないと見えないような極小サイズですから、空気中のウイルスはいとも容易にマスクを通過します。マスクでウイルスを遮断できるということはあり得ません。では、無駄かというとそれも少し違います。マスクの最大の効用は、保湿機能です。ウイルスは湿気と高温に弱いので、マスクで鼻と口の保湿を高めておくというのは、粘膜を強くするという意味で有効である可能性があります。小学生以上の年齢で、厳冬期にマスクを着用して眠る子もいますが、それは理にかなっているでしょう。

マスクの本当の効用は、インフルエンザにかかっている人が、くしゃみや咳で唾液や鼻汁を飛ばさないことにあります。「咳エチケット」という言葉がありますが、咳・発熱がある人がマスクをするのは現代では常識ではないでしょうか? マスクをしていない人が急にくしゃみをしてしまった時は、すかさず肘を曲げて、肘の内側で口・鼻をガードすべきです(以前、オバマ大統領がテレビで国民に向かって実演していました)。

私の先輩の医師のクリニックでは、(病気の種類にかかわらず)1歳以上のお子さんは全員マスク着用を義務づけて、マスクをしていないお子さんはクリニックに入れないそうです。私のクリニックも玄関に「咳・発熱のお子さんはマスク着用」とデカデカと貼り紙していますが、守っていただけない患者家族が時々います。せめて3歳になっていたら、マスクはちゃんと着用させてください。家族内で「風邪」を広げないために、マスク着用は必須です。

今回は、ワクチン・うがい・手洗い・マスクについて説明しました。インフルエンザにかからないために、ほかにも工夫できることがありますので、次回、続きを書きましょう。

<引用終了>

出典Web:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161111-OYTET50021/?from=ytop_ymag

この記事を読む迄は、ワクチンの有効性はもう少し高いのか、と思っていましたが、案外低いものなのでありますね。それでも『継続は力也』と云う言葉もありますから(此処で持ってくるのが適切か否か、と云う問題はありますが)、会社が受けさせてくれる間は予防接種を受けようと思います。
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