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2016年08月01日21:46

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メルヴィルの命日

今日は、『白鯨(モビーデック)』の作者であるハーマン・メルヴィルの誕生日なんだとか。

一言でいうなら『白鯨』は、リスクに立ち向かう男たちの物語だ。
海の男と言っても、彼らは単なる「荒くれ」ではない。科学的・合理的な精神がなければ、船を操り鯨を追うことは出来ない。その合理的な近代人が、なにゆえにリスクを冒して海へと向かうのか。この物語では、その不思議な精神が描かれている。

「俺の心を惹き留めるものは、この地上には、もう何もなくなっちまった。」

彼らの心情を現代の戦闘機パイロットに譬えた人もいた。19世紀の捕鯨船員は、宇宙飛行士にも似ているかもしれない。
日本の歴史には、大航海時代も無く、帆船による捕鯨の歴史も乏しい。
海に囲まれた民族であるにもかかわらず、この国には「海洋文学」の伝統が無い。
鎖国政策は、この国に長い太平の時代をもたらした。
しかし、それによって、この民族の「リスク」に立ち向かう精神は、未成熟のままであるような気がする。
日本の文学が『白鯨』に相当するような傑作を産み出すことは、まだ当分は無いだろうと思う。
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