『
10 クローバーフィールド・レーン』
事前情報が少ない映画。その選択は間違っていないだろう。だからこそ予告やポスターは知らない方がもっと楽しめたかもしれない。
製作のJ・J・エイブラムスは「(クローバーフィールド/HAKAISHAとは)DNAレベルでつながっているが、単純な続編とは違う」というような発言をしているという。
撮影方法もPOV方式ではなく通常撮影方式である点に置いても、これは別ものと捉えた方がいいのか。
運転中の事故から目が覚めたら、ハワード(ジョン・グッドマン)という男に監禁されていたミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)。
外は危険だと言って閉じ込めるハワードは善人か悪人か。そして彼の言うことは正しいのか間違っているのか…。
狭いシェルター内で繰り広げられる男女三人による密室劇と言えるだろうが、どこか物足りなく思える人もいるかも。
随所に答えのピースが足りないことに気が付く。
それはパズル然り、娘然り…。
見方を変えてみる。
この映画のキャッチコピーには「奴らはあらゆるフォームでやってくる」とある。
この“奴ら”をどうとらえるかだが、具体的な誰かではなく人間の心に巣食う『疑心暗鬼』なのじゃないかと思う。
米国民とテロリストという関係に置き換えたら分かりやすい気がする。
テロリストが不適切なら人種問題、隣人問題と言ってもいいのかも。
ハワードに対する疑心暗鬼、終盤に登場する<アレ>に対する疑心暗鬼。
しかし、それは相手にだけ責任があることなのか?
明らかに9.11以後の世界を意識していると思うのだが、頭から疑ってかかり悪者扱いしたら相手はどう思うだろうか。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』は怪獣映画に形を借りた情報途絶下の恐怖や不安を描いてた。
タイトルが由来するシンクロ性を考えてみれば、「DNAレベルでつながっている」の意味も頷ける気がした。生きるには正しい情報と相互理解が必要なのだろう。そしてそれは今も変わりない。
ヒロインには『ダイ・ハード4.0』『(同)/ラスト・デイ』でジョン・マクレーンの娘を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドが扮する。白いタンクトップが“父親”を想起させる。(笑)
そういやパロディっぽいシーンもあったなぁ。
狭いシェルターでの圧迫感を感じさせるにはジョン・グッドマンの体型も役立っていたか。
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