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2016年03月20日02:30

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新譜之雑談帖(その274)―ミュンシュ&オーマンディ録音集成

個人的には全く親近感の湧かない隣国でありますが、某国はどうした訳かボックス・セットの録音集成が好きな国の様で。尤も最近は、以前ほどボックス・セットを発売するとの告知に接する事が無く、流石にネタ切れかと思いきや。ARTISと云う名前の新しいレーベルから、米国オーケストラ全盛時代の一翼を担った、ミュンシュとオーマンディの録音集成を発売する、との告知が。おやおや。

ミュンシュはわたくしがクラシック音楽を聴く様になった頃は、既に物故者でありまして。ボストン交響楽団と録音した演奏は、大半が所謂千円盤で大量に発売されていた記憶があります。どうもその所為もあってか、わたくしはミュンシュの演奏は安物、と云った妙な刷り込みが出来て仕舞って。ミュンシュのレコードで入手したのは、最晩年のパリ管を指揮した有名なブラームスの第一交響曲と、ベルリオーズの幻想交響曲以外、ボストン交響楽団との録音を購入する事は無かった様に記憶して居ります。

その後CD時代になりまして、国内盤で『ミュンシュの芸術』と云ったシリーズ名で、往年のボストン交響楽団との録音がリマスタリングを施した、との宣伝文句でごっそり再発が掛かった際、定評のあるベルリオーズの演奏やフランク、デュカの演奏を購入した記憶が。その後、フランス放送管弦楽団との実況録音が出て、評判の高い演奏を何点か購入して、遅まきながらミュンシュの録音にも関心を抱くなった様な次第。

ミュンシュの録音は、手兵のボストン交響楽団と共にRCAに録音した物の他、かなりの量の実況録音盤が現在でも伊太利亜のメモリーズ辺りからあれこれ出ている様ですが、わたくしそちら方面のミュンシュの録音には詳しくないもので。それでもあれこれ見る限り、今回のボックスはそうした録音を集めて拵えられたものの様で。RCAの録音もある様ですが、これだけまとまるとちょっと壮観でありますね(CDにして32枚)。

一方オーマンディについては、ミュンシュより年齢が下であった事もあって、最後のフィラデルフィア管弦楽団との来日公演を聴く事が出来ました。当時フィラデルフィア管弦楽団は、天下の名オーケストラとして知られていましたが、オーマンディの名前は日本では左程珍重されていなかった(若しくは過小評価されていた)様に記憶しています。
しかし、アメリカの所謂ビッグ5のオーケストラは、大概一度は指揮者の交代に伴い、評価がパッとしなくなる時期があったものですが、その中でフィラデルフィアは、ストコフスキーの後を継いだオーマンディの長期政権下、一度もその評判を落とす事は無かったのでありまして。
オーマンディの音楽づくりは奇を衒うな所も、また強烈な個性をひけらかす事もなかったので、物足りないとする向きもあった様ですが、わたくしは割に好きでありました。

オーマンディの録音は、ミュンシュと違って実況録音が現在でもぼこぼこ発売される、と云う状況にないので、今回集められた録音は、RCA>CBS>再度RCAと移籍を繰り返したオーマンディの録音のうち、最初のRCA時代とCBSの時代の物が大半の様で。この時期の録音は、現在のソニー・クラシカルからもボックス・セットとして(ミュンシュの録音もそうですが)一応纏められてはいるものの、わたくしとしてはちょっと手を出し難い形での纏め方。もうちょっと何とかならぬものか、と内心穏やか為らざるものが。

しかし、某国のこの新興レーベルは今後どういった芳香、じゃなかった方向へ展開する予定なのか。出来る事なら、現在が余り触れる事の出来ない、モノラル時代の録音(この二人の指揮者も含めて、でありますが)―アメリカで活躍した、ライナー、セル、ミトロプーロス、と云った辺りの―を出してくれると面白いんですがねえ。
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