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2016年03月03日00:43

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新譜之雑談帖(その269)―ハイドンのオペラ序曲集

わたくしがクラシック音楽を聴く様になった高校時代、同じ学年のK君が同様にクラシック音楽を良く聴く人であったので、あれこれ話をしたものでありました。彼は大のモーツァルト贔屓でありまして。わたくしはクラシック音楽を聴き始めた割に始めの頃、ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団のハイドンの交響曲第96番をFMで聴いて、セルとハイドンの音楽にすっかりやられて仕舞った(当時は余りモーツァルトの音楽は好きでは無かった)ので、良く彼とああでもない、こうでもないとそれぞれの御贔屓の作曲家について音楽談義を展開したものであります。

で、彼がハイドンの音楽作品を貶す際に用いたのが、「モーツァルトにはオペラの名作があるけれど、ハイドンにはオペラ作品が無いじゃねえか」と云うフレーズ。そう言えばハイドンのオペラ作品、って聞いた事がない。ハイドンは声楽作品が得手ではなかったのか、と当時の物知らずのわたくし(今でも馬齢を重ねてはいるものの、無知蒙昧の点では当時と大して変わっていない様な)は漠然と思っていたものです。
まあハイドンの経歴を見れば、長年エステルハーツィ侯の御抱え音楽家であったハイドンに、オペラ作曲の機会が余り無かったのも無理はなく。只この頃、確か当時のフィリップスからハイドンのオペラ『月の世界』(だったと記憶します)の録音が発売されると云うニュースを知り、「どうだ、それ程有名じゃないけれどハイドンだってオペラがあったんだぜ」と切り返す事が出来たのでありました。
確か当時の記憶が正しければ、当時のフィリップスはハイドンのオペラの全曲を録音する、と云う中々に気宇広大な企画をぶち上げた筈、なのですが途中で挫折したのではなかったか、と。

それから時は流れて幾星霜。色々とユニークな音盤作りをするナクソスから、ハイドンのオペラ序曲集が発売される、との告知が。おお、なんてこったい(喜びの声)。
ハイドンのオペラが活発に録音されている、と云う状況からは今日尚程遠い状態になので、こうした集成は有難い限りでありますね。只、ちょっと残念なのは、ハイドンを取り上げる演奏家というのは、わたくしの大嫌いな古楽器演奏家の流れを汲む面々が殆どである事。管弦楽作品で、モダン・オーケストラがハイドンを取り上げる機会(或いは録音する機会)は、珍しくなって仕舞いました。何とかならないもんですかねえ、嗚呼……
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