「アイスクリームをなめたい」
というときの「なめたい(舐めたい)」は、
マ行下一段活用の動詞「舐める」の連用形である「舐め」に、希望の助動詞「たい」が付いた形
http://www.weblio.jp/content/%E8%88%90%E3%82%81%E3%81%9F%E3%81%84
なのだそうだ。
動詞の「舐める」または「嘗める」は、「あなどる」という意味の「無礼(なめ)」が動詞化した言葉とのこと。
マ行下一段活用は、次のように活用する。
「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」
「な-め(ない)」「な-め(ます)」「な-める」「な-めれ(ば)」「な-めろ・な-めよ」
ところが、先日、北海道の道南地方(具体的には北斗市)の出身の女の子が、とあるネット配信番組の中で、
「アイスクリームのフタをなめりたい」
と言ったものだから、視聴者たちが「変な言い方だ」と騒いだ。
方言のようでもあるが、北海道出身の僕でも、「なめ"り"たい」とは言わない。
ただ、そういう言い方を聞いたことがあるような気がした。
その女の子の友達も含め、道南地方では複数の人が「なめりたい」と言うことも分った。
色々と調べてみたら、「なめる」には「滑る」という字を当てる動詞もあった。
(ネジの溝がつぶれてドライバーで回せなくなることを整備士などが「なめた(滑た)」というのはよく聞く言葉だ。)
こちらは「ラ行五段活用」で、次のように活用する。
「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」
「なめ-ら(ない)」「なめ-り(ます)」「なめ-る」「なめ-れ(ば)」「なめ-れ」
こちらだと、連用形に希望の助動詞「たい」を付けて「なめりたい」となる。
一種の方言として、動詞の活用形が標準語とは違うということは時々ある。
「来ない(こない)」という言葉を「きない」と読む老人が、首都圏の某県などでも少なくない。
ところで、「舐める」の命令形について、標準語では「なめろ」「なめよ」となっているが、僕も子供の頃は、よく「なめれ」と言っていたような気がする。というよりも、北海道では多くの大人たちが「なめれ」と言っていたような気がする。だとすると、北海道における「舐める」は、必ずしも標準的な「マ行下一段活用」ではなかったのかも知れない。「舐める」を「ラ行五段活用」させた「なめります」も、それほど変な表現ではないような気がしてきた。
「なめりたい」は立派な方言だ。
「故郷の訛り懐かし停車場の人ごみの中にそを聞きに行く」(石川啄木)
僕の場合、ネット配信でも北海道出身者の番組を見ることが多い。
それは、懐かしい話題も多いし、やはり「なまり」を含めた「言葉」に懐かしさを感じるからだと思う。
余談だが、最近、そのネット配信の視聴者の中には「なめり隊」を名乗る変なオジサンたちが増えているようだ(笑)。
■相馬萌花の「エガオノオスソワケ」(Showroom)
https://www.showroom-live.com/soumamoeka
http://ameblo.jp/hysmoet0313/
https://twitter.com/moet0313
■ネジをなめる
http://www.shift-up.net/180maintenance/post_44.html
http://kumiko-jp.com/archives/46062.html
【追記】
北海道方言では、「上一段・下一段・サ変の命令形「ろ」が「れ」に変わる。」という説があるらしいです。
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