mixiユーザー(id:2312860)

2015年09月10日22:40

184 view

二人だけこの世に残し

二人だけ
この世に残し
死に絶えて
しまえばいいと

中島みゆき『予感』所収「この世に二人だけ」より

.:*:'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜☆。'・.:*:・.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・

図書館で中島みゆきのCDを何枚か借りてきた。
初期の中島みゆきの歌詞を読んでいたら、このソングライターの作品には、王朝女流文学に通じるものがあるように感じられてきた。

たとえば「予感」というアルバムには、次のような曲が収録されている。

「ばいばいどくおぶざべい」
「誰のせいでもない雨が」
「テキーラを飲みほして」
「金魚」

これらの歌が表現しているものを「もののあはれ」あるいは「憂き世」だと言っても、大きな間違いではないだろう。

.:*:'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜☆。'・.:*:・.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・

冒頭に引用した「この世に二人だけ」のサビの部分を読んでいて、その音数が、

五・七・五・七

になっていることに気がついた。続く歌詞が

「心ならずも願ってしまうけど
それでもあなたは私を選ばない」

なので、和歌にはならないのだけれど。
だけど、たとえば「ねがう秋(あるいは冬)の夜」と続けてみたらどうだろうか。

二人だけ
この世に残し
死に絶えて
しまえばいいと
ねがう秋の夜

内容はともあれ、和歌にはなるんじゃないだろうか。

中島みゆきの作る歌詞の中に、百人一首に通じるものがあることは、前にも書いたことがあった。

■今はこんなに悲しくて(2013年06月07日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904079137&owner_id=2312860

中島みゆきは、大学時代、藤村潔(ふじむらきよし)に師事したそうだが、藤村が優れた源氏物語研究者であったことは、以前の日記でご紹介したことがある。

■藤村潔に関する日記
・シベリアの「源氏物語」(2014年08月23日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1931304343&owner_id=2312860
・虚無と闇の世界-源氏物語(2014年08月24日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1931359663&owner_id=2312860

こうしてみると、中島みゆきの歌には、日本文学における正統な情念が流れ込んでいるように思われてくる。

■日本古典文学関係の日記の目次
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1878532589&owner_id=2312860
■源氏物語に関する日記の目次
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=2312860&id=1859548426
6 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する