『
ホビット 思いがけない冒険』
平和を享受できるのは何よりありがたいことだと思うが、世界では常に争いの種は尽きない。
もしも友人が助けを求めてきたら損得抜きで立ち上がれるだろうか?
そこにいかなる危険が待ち受けていても…。
『LOTR』の60年前の世界を再びピーター・ジャクソンが描く。当初の2部作から3部作に変更になったと聞くが、それでも170分と長尺なのは、このシリーズなれば許されることか。
すでに『LOTR』シリーズで知っている魔法使い、エルフ族、ゴラムなどが出てくるので整理はつきやすい。
後に加えられた注釈から話を膨らませたようだが、それでも『LOTR』よりも簡潔な骨組みに思える。もともとの出発点が児童書であるからだろうか。
故郷を奪われたドワーフ一族のために危険を顧みず、住み慣れた故郷を後にするビルボ・バギンズの決意は、
特殊な能力を持たない平凡な我々にも世界を変える力を持ちえるという希望を抱かせ親近感を持たせる。
リーダーなのにオトナ気ない側面を持つドワーフ族の元王子トーリンの精神面の成長も見所の一つなのだろうか。
ただ欲を言えば、ビルボとトーリンにもう少し“色気”があれば…とも思った。
やはりというか
ゴラムがこの映画の“美味しい部分”をさらって行っている気がしてならない。
たぶんにご都合主義的な部分も垣間見られるが<お約束>の範疇なので、突っ込むのは野暮というものだろう。(笑)
画集をみるような風景描写の見事さはいっそう磨きがかかったように思える。中でもエルフの住む<裂け谷>の美しさはまさに別天地。
話の本筋とはそれるが、今回HFR(ハイ・フレーム・レート)なる方式が採用されている。
物は試しと思いトライしてみたが、元来HFRとはこういうものなのか、制作者の狙いなのか分からないが、ともかく絵が生っぽい。
時として実際に肉眼で舞台を間近で見ているかのような錯覚に陥る。
確かに作品の中に入り込むが、メイキャップやCG合成の境界線がやや気になる。
作品にとって吉か凶か…ふと
フィルムライクという言葉が頭をよぎる。
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