『JIN −仁−』最終回に出て来た赤煉瓦の図書館については、
とても印象的だったので、画面の様子はこちらに書いた。
・『JIN −仁−』最終回の図書館
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1742623182&owner_id=949383
エンディングの撮影協力リストにより、
撮影地は東京都北区中央図書館（北区十条台1-2-5）と確認。
http://www.city.kita.tokyo.jp/docs/service/272/027236.htm
地図で見るとJR王子駅、十条駅、東十条駅のいずれからも徒歩12〜15分。
http://www.city.kita.tokyo.jp/docs/service/272/atts/027236/attachment/attachment_5.pdf
王子駅からコミュニティ・バス「王子・駒込ルート」に乗り、
「中央図書館前」で降りるのが一番歩かなくてすみそうだけれど、
以前も王子あたりまでなら自転車で行ったこともあるし、今回もチャリにて出動。
池袋から明治通りをまっすぐ走り、滝野川二丁目の信号で左に折れ、
道なりにまっすぐ進み、音無川（石神井川）にかかる紅葉橋を渡り、
都営王子アパートを右に見てひたすらまっすぐ行くと、ほどなく左手に目的地。
我が家から40分足らず。意外と近かった。
「中央図書館前」のバス停の立つこの道はそう大きくなく、のんびりした雰囲気。
道のすぐ脇に自転車置き場があり、その近くにすぐ図書館入口が見える。
ここはごく現代的なコンクリート造りだから、赤煉瓦は別の面なんだろうな、
と思いながら中に入ると、通路の左手下の広々としたスペースが目に飛び込んできた。
左手に下に下りる階段があり、階段の向かい正面にカウンター。
カウンター向かって右手に煉瓦部分。外に面した縦長の窓も見える。
吹き抜けの天井はとても高い。
初めてなのでよく分っていなかったけれど、カウンターのあるのが一階で、
今入ってきたのは二階に面した入口らしい。
この図書館は勾配に面していて、どちらからでも入れるのだろう。
あとでぐるっと回って見てみると、図書館の正面入り口は公園に面していて、
コミュニティバスの通る道路からはスロープや階段で下るようになっていた。
図書館の北側が公園。西側が陸上自衛隊十条駐屯地。
もともとこの駐屯地の赤煉瓦倉庫だった建物が、
2008年6月に図書館として生まれ変わったそうで、愛称は「赤レンガ図書館」。
新たに造られた東側の部分と合体し、気持ちのよい空間となっている。
まずは一階カウンター右手の、赤煉瓦部分を歩いてみた。
（あとで館内図を見ると、1番区〜2番区の部分。ちなみに6番区まである）
画面で見た通り、天井も高く窓も縦長に大きいので、とても明るい。
木製書架は人の背丈ほどの低さだし、書架間はゆったりと動きやすく開放的。
窓に面した木製の閲覧机は、一人掛けの少し高めの机と椅子の隣に、
それより少し低めの三人掛けの机が互い違いに並んでいて、
一人の椅子ごとに黒いスタンドライト。
書架の間にも机と椅子が置かれているところがある。
(書架番号22と23の間や、48と49の間など）
窓際には適度にベンジャミンなどの鉢植えが置かれて良い雰囲気。
仁が腰掛けていたのは三人掛け用のほうだが、隣に人は居ず広々と使っていた。
画面では、カメラが窓側から仁のほうを写すと、
彼のすぐ左に見える書架に「22 自然科学」という側板表示が見える。
ここでは医療史について調べているのだから、ごく自然に思えたけれど、
その「22」のところに行ってみると、そこは「哲学・宗教」だった！
実際の「自然科学」は書架番号45-48、「医学」はその隣で49-52。
ここは窓際ではなく、内側に入り込んでいるので、
画面の見栄えのために表示をわざわざ変えたのだろう。
やっぱりドラマ撮影は、細かいところまで作り込むのだなあ、と改めて感心。
日本医療学会編「日本医療史集成」という仁が見ていた本は、
ドラマのための架空の図書だけれど、
医学コーナーに『日本医療史』（新村拓編・吉村弘文堂 2006年）
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b34653.html
という本があったので、ぱらぱらめくってみた。
p.173-174には緒方洪庵と適塾の記述があり、その次は順天堂について。
”順天堂は、医学教育と外科医療にあわせて、オランダ語教育も評判で
「東の長崎」と称され各地から門人が参集した”などという短い記述さえ、
『JIN −仁−』の余韻のなかでは、とても身近なものに感じられる。
当時、外科手術は命がけのものもあったため、患者側が医師に対して、
どんなことがあっても恨まないという一札（手術承諾書）を出す場合があり、
順天堂には1855（安政二）年のものが残されているとか。（p.178)
”相果て候とも恨み申さず候”という覚悟の言葉に粛然とする。
本当に、先人達がたゆまぬ努力を続けてきたからこそ、今があるのですね。
窓際の書架20と隣の29の間には階段があって、2階子ども室につながっている。
机についている仁を書架ごと上から俯瞰したショットは、
きっとこの階段から撮られたのだろうと思ってあがってみると、
まさにあの画面通りの角度で1番地が見降ろせた。
画面で白っぽい梁のようなものが何本も並んでいたのは、
下を照らすための蛍光管が連なっているもの。
せっかくなので上まで上がり、扉を開けて児童コーナーにも入って見た。
書架の間の樹の椅子も、ちいさな子に合わせたサイズで、
デザインも色もとても可愛らしい。
なつかしいラングの童話集などもあり、思わず長居をしてしまう。
子どもにも大人にも心なごむ雰囲気。
この子ども室はさきほど入った二階入口からもストレートに入れる。
窓を外から映したショットも確認してみたく、もう一度一階に下り、
一階の正面入口から外に出てみた。
図書館正面は赤煉瓦部分が前面に出ていて、後ろに新しい白い部分がそそり立ち、
「北区中央図書館」という文字が上のほうに見える。
ここから右に回り込むと、西側の通路沿いの窓が画面で見えたもの。
側にポプラのような樹も見え、赤煉瓦と相俟ってまるで北海道のよう。
本当に絵になる景色。
それにしてももとの鉄骨の部分も良く生かされ、
新しい部分ともしっくり和して、良い図書館だなあと思う。
ネット検索用の機器もふんだんにあるし、自動貸し出し機も導入されている。
研究個室やグループ研究室もあり、中庭もあって余裕を感じる空間。
隅のほうにはこの赤煉瓦の建物の改装の様子を写したパネルや、
説明書き、煉瓦の一部展示などもあって、博物館的な雰囲気も。
正面入り口の右手は喫茶室で、
Atelier de Reve（アトリエ・ド・リーブ）というお店。
http://www.atelier-de-reve.com/index.html
本店は白金にあり、ここは北区中央図書館内の支店「赤煉瓦Cafe」とのこと。
館内どこを回っても居心地がよくて、日曜閉館の5時までゆっくりしてしまった。
また行きたいなあ。
余談ながら、図書館近くの都営王子アパートや王子母子アパートあたりも、
昭和の古いつくりの団地で目を引かれる。
自転車の帰り道では、さきほど渡ってきた音無川（石神井川）の紅葉橋のほとり、
紅葉寺（金剛寺）も趣深い。
http://www.e-ishiya.com/tera/kita/ooji/konngouji/kongouji.html
源頼朝の布陣伝承地との看板があり、一帯は瀧と紅葉の名勝地として知られたとか。
歴史散歩もいろいろ出来そうなので、併せて楽しみたい。
*写真は左から順に
・正面側から見た赤煉瓦図書館
・図書館西側の窓
・音無川紅葉橋越しの金剛寺
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