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2015年02月11日20:32

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林望『往生の物語』

「思えば、『平家物語』以前には、これほど徹底的に死に対峙した文学は存在しなかった。死は、一種のタブーですらあったかに見える。それを、真っ向から打ち破ったのが『平家物語』であり、文学史上にタナトスの文芸を打ち立てた記念碑的名作であったと見てよい。そして同時に、かくのごとく、全てが「死」に収束していくというところこそ、『平家物語』という作品の到達点でもあった。その意味では、『源氏物語』が、生きていくことの煩悩、すなわちエロスの物語であったのとまったく正反対であった。」

林望『往生の物語』集英社新書・2000年の「開口」より

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源氏物語を現代語訳した林望に、平家物語に関するまとまった論考があるとは知らなかった。
新刊書店の新書コーナーに『往生の物語』というタイトルの本があったとしても、僕は興味を持たなかっただろう。しかし、図書館の古典の配架に軍記物の書籍と並んでいたので、なんとなく手に取ってみた。

副題は「死の万華鏡『平家物語』」となっているが、これは背表紙には書かれていない。

林は「私の古典読書の中心に、思えば、いつも『平家物語』があった。」(p.257)とも書いている。
意外ではあるけれど、そういうことなのだろう。
図書館で借りて斜め読みしか出来なかったけれど、いずれジックリと林の平家物語論を読んでみたい。
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