金曜日の夜、少し早めに会社を出て、久しぶりに東京・吉祥寺の古本屋を見に行く。
目指すは、「よみた屋」。
100円均一コーナーには、大月書店と青木書店の『資本論』が一揃い置いてあった…。
300円均一を見ると、『クナシリ島』という本があった。
著者は田中純司。1938年生まれ。早稲田の大学院文学研究科を中退したあと、京北商業高校の教員をされている。同人誌に発表した小説を岩波ブックサービスセンターの製作で自主出版したようだ。
題材は、「1789年のクナシリ・メナシの戦い」だった。もちろん、買った。
よく取材されて書かれていると感じた。
表紙には、版画が掲げられていた。
上半身裸で、膝を屈して地に伏したアイヌの男の画だった。
ただ、その男の腕の筋肉、指先に入った力が、屈従を強いられながら、それに屈したままにはならない意志のようなものを感じさせた。
この画が、この物語の色調も伝えているような気もする。
ラストの方だけ読んでみたが、松前藩側の事情の政治的・制度的・人間的な面が細かく書かれていて面白かった。
1978年頃に同人誌に発表し、1989年に「クナシリ・メナシ蜂起200周年」を期して出版にこぎつけたらしい。
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よみた屋から吉祥寺駅に戻る途中の角で、それまで見たことのない古本屋を見つけた。
どうせマンガ中心の本屋だろうと思ったら、「日本史・時代小説」と書かれている。
名前も「風鈴堂」。
ビルの2階に上がってみた。
年配の主人がレジに座っている。
本の数こそ多くはないものの、他の本屋ではみかけないような本もある。
清水好子『源氏の女君−増補版』塙新書(1971年)
清水好子『紫式部』岩波新書(1973年)
いずれも300円。
あまり出回っている本ではないので、プレミアがついていないだけでも買い得だったと思う。もっとも塙新書の定価は200円だけれど…。
会計のときにご主人から
「学者さんですか」
と何故か訊かれ、「いえいえタダのサラリーマンです」と慌てて答えてしまった。慌てなくてもいいのにね(笑)。
「ここに古本屋があるとは知りませんでした」
と言うと、
「元々は洋服屋だったんです。38年間洋服屋をやって、その間に貯めた本で古本屋を始めまして」
とのこと。
珍しく素敵な古本屋が新たに出来たことは、ひとつの驚きだ。。
ブログを作っていて、歴史関係のことを話題にされている。
■田中純司
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/1730279.html
■よみた屋
http://www.yomitaya.co.jp/
■こんにちは、日本史・時代小説を扱う吉祥寺の古書店「風鈴堂」です。
http://furindo123.blog.fc2.com/
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