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2012年10月02日23:59

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『雨月物語』の読み方

「『雨月物語』に含まれる小説『白峰』は、保元の乱に敗れた崇徳上皇の亡霊を題材にした怪談。作者は上田秋成。」

という一文をネット上で見かけた。

おやっ、そうだっけ?

と思った。『雨月物語』はかなり昔に軽く(現代語訳を)読んだ記憶がある。
『保元物語』は、先日読んだばかりだ。
しかし、両者の関連がつかめていなかった。
というわけで、『雨月物語』(角川文庫)の「白峯」を読んでみることに。

恐ろしい話である(笑)。
こんなに怖い話だとは思わなかった。

『平治物語』『平家物語』を読む前だと、崇徳上皇の怨霊が「アレを起こしたのはオレ、コレもオレの祟り」などと言うが、「アレ」やら「コレ」やらの具体的なイメージがわいてこないので、あまり怖くない。

ところが、『保元物語』に続く『平治物語』『平家物語』を読むと、崇徳上皇の亡霊が引き起こした事態の重大さが分かり、その怨念の深さがヒシヒシと伝わってくるのだ。

えっ、「アレ」も「コレ」も崇徳上皇様のお恨みの故なのですか!

と思われてくるのだ。

「アレ」「コレ」の具体的な内容は、以下のようなものだ。

・藤原信頼の傲慢な心を惑わして、源義朝とともに「平治の乱」を起こさせたこと。
・少納言信西を信頼・義朝の敵にして、六条河原にさらし首にしてこと。
・信頼・義朝が、さほど武勇に優れてはいない平清盛に討たれたこと。
・応保の夏に美福門院の命を絶ったこと。
・長寛の春に藤原忠通を祟ったこと。
・その後も、人の幸福を見ては災い転じ、世が平安になれば混乱を起こしたこと。
・平清盛が後白河院を恨んで鳥羽殿に幽閉するように仕向けた。
・源頼朝が東から、木曽義仲が北から挙兵するようにしたこと(源平合戦)。
・壇ノ浦で安徳幼帝が入水され、平家一門が滅亡するようにしたこと。

う〜む。実に遠大な怨恨である…。

上田秋成が『雨月物語』を書くにあたっては、読者が『平治物語』や『平家物語』のあらすじと結末を知っていることを前提にしていただろう。

というわけで、『雨月物語』の真髄を味わうには、

『平治物語』と『平家物語』を読んでから読むべし!

と思うのだ。

■『雨月物語』原文
http://etext.virginia.edu/japanese/ueda/ugetsu/UedUget.html
http://www.koten.net/ugetsu/
http://www.hokushin-media.com/library1/ugetsu.html
■『雨月物語』現代語訳
http://mouryou.ifdef.jp/ugetsu/ugetsu.htm
「白峯」現代語訳
http://mouryou.ifdef.jp/ugetsu/shiramine.htm
■東京大学総合研究博物館デジタルミュージアム
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_CONT/UGETSU/HOME.HTM

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