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2008年05月10日17:57

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「Random number generation」の数学的世界

イツァークのソロナンバー『Random number generation』は、
今回の再演で初めて生で聴いた。
ソムン・タクさんの歌の迫力と客あおりの上手さに
会場はノリノリだけれど、曲の意味はつかめていないままだった。
前回の初演では歌われていなかったので、まだなじみがなかったし、
ヘドウィグ公式ページの「スペシャル」項目の日本語訳に
この曲は含まれていない。
http://hedwig.jp/

一緒に歌えるのはサビの部分の
♪ We're the random number generation
We are random number generated
We are random numbers
「我らはランダムナンバー世代
 でたらめな番号を生成している
 我らこそがランダムナンバー」
くらいなもの。
あとは、最後ちかくの「Iggy Pop(イギー・ポップ)」
「Iggy Stooge(イギー・ストゥージ)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%97
が聞き取れるくらい。

ほうっておいても分からないことはとにかく調べてしまうKさんは、
公演中日も過ぎた頃、自分流の訳を渡してくれた。
私がもたもたしてる間に、本当にありがたいひとである。
おかげでいろんなイメージがつかめて興味深かった。
♪ All our feelings and thoughts expressed in one and oughts.
という最初の歌詞は、「我らの感覚と思考のすべては1と0で表現されている」
というような意味。
oughtには(零=ゼロ)という意味もあるのだ。
そして1と0であらわされるというのは、まさしくコンピュータの世界。

サビ部分前の
♪god dog I eye I god dog というのが、
どちら側から読んでも同じ「回文」だということも、
彼女の調べによって初めて気付かされた。
英語で言うと「Palindrome(パーリンドローム)」。
パリンドロームはDNAの配列などにも登場する用語で、
調べていたら「パリンドローム」(スチュアート・ウッズ著・文春文庫)
というサスペンス小説までヒットした。
この作品ではこの語が双子の象徴として使われているらしく、
思わず「引き裂かれて生まれた双生児」(The twin born by fission)
というヘドウィグの台詞を連想してしまった。
深読みのしすぎかもれないけれど、本当にヘドウィグの世界では、
台詞や歌詞の語は、あちこち響きあうよう選び抜かれているから。

あとに出てくる数式といい、この歌の歌詞は
数学的、科学的なイメージにあふれ、同時に神話的な感じもあって、
いろんな意味が含まれているように思われる。
k=x2-1というのは二次式関数。放物線をあらわすグラフ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E9%96%A2%E6%95%B0
♪When X is taken times two
「Xが二倍になる時」という歌詞もある。
その時、世界はがらっと変わるんだろうか。

私は典型的文系で、数学は苦手。
中学程度の基礎知識もまるで忘れている。
で、図々しくも数学の先生に歌詞をお見せし、式のことをお聞きしてみた。
(聞くまで式が放物線をあらわすことも忘れ果ててた。kはグラフの縦軸)
「この式とタイトルを見ると、連想するのはカオスやフラクタルですね。
 ランダムナンバーって乱数のことでしょう。
 コンピュータのプログラムで乱数をつくるって、矛盾しているようだけれど、
 ルールがちゃんとあってもしくみがわからなくて見ていると、
 でたらめにしか見えないんです」
先生の研究室で一時間も懇切丁寧な説明を受けたのだけれど、
ひとさまに説明しなおせるほど理解できたのか、まことにこころもとない。
でも聞いているときは、なんだか哲学思想や神話のようで楽しかった。

パイ生地を混ぜるときに、ひたすら折りたたんでいけば
どんどん混ざり合ってゆくという「パイこね理論」だとか、
図形の部分と全体が自己相似になっている「フラクタル」の概念だとか、
決定論的システムが作り出す予想不能のふるまいが「カオス」という現象だとか。
カオスはギリシャ神話に出てくる原初神の名でもあり、
混沌そのもののイメージ。一人でガイア(大地)、タルタロス(奈落)、
エロス(愛)、エレボス(暗黒)を生んだとも言われている。
と、最後はまた頭のなかは神話的イメージだけになってしまったけれど、
もうちょっと理解できるようになったら、また触れてみたい。
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