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2007年05月11日02:48

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「Hedwig〜」英語オリジナルテキスト

帰宅したら待ちに待ったものが届いていた!
先週amazonで注文した「Hedwig and The Angry Inch」の
英語オリジナル台本。
http://www.amazon.co.jp/dp/1585670340?tag=mikamihed0b-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=1585670340&adid=1NGRB1E420VJX7164S4B&
私もKさんも自分の脳内再現のための舞台採録作業は
とっくに済ませているのだけれど、
やはり細かいところで「これはどういう意味なんだろう?」
「英語オリジナルではどう言ってたんだろう?」と
やるほどに知りたくなり、
ちょっとお高いけれど、確認のためにも申し込んでしまったのだ。
舞台写真もふんだんに載っているし、とても興味深い。

いくつか謎だったところをまず見てみた。
ヘドウィグが最初にトミーを自分のパフォーマンスに誘ったメモの文面。
「ところでトミー、あたし今夜ドクターエスプレッソの
シアトルスタイルのコーヒーカンチョウバーで
短時間のパフォーマンスをするんだけど、良かったら来てね」
カンチョウって言ってた?カンジョウかなあ?
でも私、確かにカンチョウって聞こえたけど。
カンチョウって…あのカンチョウ?でもバーの名前でしょ、まさかね。
と思ってたのですが、オリジナルを見ると
"Dr. Espresso's Seattle-Style Coffe Enema Bar"となっている。
Enemaは何の意味?と調べたら、まさにこれは医学用語の「浣腸」だった。
コーヒー浣腸バー…なんかへんてこな名前ですね。
でもほんとにそういう意味だったなんて。

確かにそうだと確認できて嬉しかったところも多い。
「三ヶ月もすればあたしたちは泣く子も黙るWichita(ウィチタ)いちの
 怪物バンドになったわ」というくだりは、
まさに地図での地名確認通りWichitaで間違いなかった。
耳からだけでは書き取れなかったところ。

トミーのことを「プリンスじゃないけど、あたしの可愛い子ちゃん」というのも、
いまひとつぴんとこなかった。
私は「プリンスって、あの歌手のプリンスじゃないの?」とがんばったのだが、
Kさんは「単に王子さまじゃないけど可愛い子ってことでしょう」とゆずらない。
で、原文は「The artist formerly known as my buttboy」。
これはプリンスが後に名前を変えたとき、口では呼ぶことが困難なものだったので、
「元プリンス」(the artist formerly known as Prince
=かつてプリンスと呼ばれたアーティスト)
というのにひっかけた表現らしい。

1992年、プリンスはタイトルをシンボルマークにしたアルバムをリリースしてヒット。
このシンボルは、男性(♂)と女性(♀)を融合させたもので、
錬金術の記号にルーツを持つと言われ、
発音不明のためラブ・シンボルと呼ばれている。
その後彼はプリンスの名を捨て、
前作アルバムのタイトルであるシンボルを自らの名とした。
しかしこのシンボルに対しての読み方を特に決めなかったため、
彼の名前を音声で伝えることが不可能になった。
それでこんなもってまわった言い回しになったとか。
このシンボルの成り立ちにしても、
ヘドウィグの物語の一部として登場するにふさわしいと思う。

日本語の台詞を全部書き起こして把握したあとだからこそ、
原文との相違もよく分かる。
たとえば「Kristal nacht」(クリスタル・ナハト=水晶の夜)のことについて、
1938年11月9日に起こった歴史的な事件に関する説明は原文にはなかった。
欧米なら周知の事実であっても、
日本ではこの事件に対する反応がにぶいだろうことで、
あえて語らせたのかと思える。

同じく、英語原文のほうがシンプルで、
日本語のほうがもう少し入れ込んであるところもいくつか。
あの切ないヘドウィグの独白。
英語は、実にぎりぎりの短さで、とてもうつくしい。

He's the one.    あの子があたしの片割れなんだ
No blood in my eyes,  あたしの眼も血でにごってはいない
no blood on his face. 彼の顔も血でかくれてはいない
He's the one.   あの子こそがそれ(分かるでしょう?)
The one who was taken.   連れ去られたもの
The one who left.      置き去りにされたもの
The twin born by fission.  切り離されて生まれた双生児
He'll die in fusion,     融合によって死ぬの
our fusion,         二人が融合することで
cold fusion,        冷酷な(常温)核融合
unlimited power, 無限のエネルギー (無制限の権力)
unlimited knowledge,    無限の知識 
the secrets he must hold,  かかえなくてはならない秘密
the memories that we shared かつては二人で共有していたのに
but are now forgotton, 忘れ去られてしまった記憶
the words to complete the sentence that I began,
               あたしが始めたセンテンスを完成させる言葉
"I am……!" 「あたしは…」
My eyes fill with muddy Maybelline tears
あたしの眼は泥みたいな化粧品の涙でいっぱいになるわ

( )のかっこ内は、多分日本語訳で足されたところ。
Maybelline(メイベリン)というのはマスカラのメーカ-名のことらしい。
ああ、それにしてもここを読むとまた思い出してしまう。
これは詩そのもの。
このテキストをまたじっくり読み込んで行きたい。
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