《映画》犬死に多数

映画鑑賞本数がかなり減っている。
観たい映画が少なくなっているのか、2時間以上座っていることがつらいのか。
超映画ファンだった少年時代に戻って、どんな生活をしていたのかあの頃の自分に聞いてみたい。

映画レビュー

110『ガザ 素顔の日常』★5.
鑑賞し終えて消化しきれない自分がいた。
戦争が当たり前の地域。
ドキュメンタリーは2018年までを描いているのに、現在進行形のガザ。
200万人の人口のうち、この2か月足らずで1％の住民が亡くなっている。
この映画に出ていた子供たちの、きっと何十人か、或いは何百人かはこの世にいない。
一夫多妻で男尊女卑の社会。自分には理解できない環境にあって、やっぱり上手に消化しきれない。そもそも産みすぎで子どもたちは大切に育てられているのか、それともパレスチナ戦士が常に産み出され、怨嗟だけがこれからも続けられていくのか。

渋谷イメージフォーラムの狭い階段を、杖をついたご老人が降りていく。
一段一段、杖をつき、片足づつをゆっくりと降ろしながら。
後ろについたおいら。まだ上映時間には5分も余裕がある。足並みを揃えて見守ろう。
そんな矢先、狭くとも開いた右側をコーヒーを持った女性が駆け抜けていく。
ご老人に触れるか触れないかの勢いだった。もっと、人に優しさを持ったらどうなんだろう。
そんなことを考えながら、ゆっくりと劇場のシートについた。

映画が終わり、客電が点く。
左側、離れた席に先ほどのコーヒー駆け降り女子が、涙を流している。
彼女はいったい何に対して泣いているのだろう。
ガザの子どもたちを悲しんでいるのだろうか。
自分たちにできることなんて、人に優しくすることだけなのに。
弱い人に優しくできれば、戦争なんて、憎しみなんて起きないのに。


111『ナポレオン』★4.5
富士美術館。超大作のナポレオンを目にしてはいるけれど、そういえば、彼の功績をあまり知らなかった。
驚いたのは、フランス人であるはずなのに英語が堪能なこと。
そして、彼のせいで300万人もの軍人たちが命を落としていること。
まるで日本の戦国時代のような雑魚キャラの死屍累々。
1789年から1815年までの物語。
それを2時間半にまとめているのだから、小便の我慢も仕方がない。
分厚い文庫本を1冊読み切ったかのような、鑑賞後の感想。
思わず世界三大悪妻をググってみた。答えはソクラテス、モーツァルト、トルストイ。
ナポレオンの奥さんは良妻のくくりが正解なのか。


109『首』★4．
北野武の遺作（予定）。
彼の才能極めり。
理解しやすい織田・明智・豊臣の時代を男色を交えて、少しだけコミカルに描く。

ガザも真実だけれど、ナポレオンも戦国時代も当時の真実。
戦争中は軍人が虫けらのごとく死んでいく。ガザや昭和20年の日本では罪なき住民までも失くしていく。
もしも、自分がその時代にいたなら、或いは昭和18年ごろに18歳だったら、どうにかして戦争から逃げ出す努力をしているに違いない。
コロナだからマスクをつけて旅に出ない。そんな集団心理が大嫌いだから、一兵卒で犬死を選ばない。こんな映画を観るたびに、自分の在り方を確認する。



■イスラエル軍がガザの地下トンネルに海水注入開始か　米報道
(TBS NEWS DIG - 12月13日 07:59)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=7672367