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2023年03月09日17:14

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2月に観たもの

*写真は左から順に
・庭園美術館新館通路のハート形ガラスの影、 府中の森公園の桃色椿、
 大森の珈琲亭ルアン

2月はあまりにも寒暖の差が激しくて振り回され、
時折体調が今ひとつだったが、それでも結構あちこち出掛けた。
展覧会は見応えのあるものが多く充実していたし、
途中で目にする梅の花やツバキなども目を楽しませてくれる。
大森の川端龍子記念館に行った帰り、
気になっていた珈琲亭ルアン(片桐はいりさんの行きつけ)に
初めて入ることが出来て良かった。

TVドラマは何といってもNHKドラマ10『大奥』が一番の楽しみ。
原作ファンとしても文句のつけようがないキャスティングと脚本。
毎回その濃密さ、演出の妙にため息が出る。
もうひとつ、まったく違うけれど癒しなのは『6秒間の軌跡』。
野田地図『フェイクスピア』でも素晴らしかった高橋一生さんと
橋爪功さんの絶妙なやりとりが微笑ましい。
舞台となる地方の古い家屋も好きだ。
カララっと開け閉めする引き戸の音に郷愁を誘われる。

<映画>
・アンナ・カレーニナ
・月の満ち欠け   (早稲田松竹) 2月12日
http://wasedashochiku.co.jp/archives/schedule/27048
映画館HPでのプログラム解説などまったく見ていなかったので、
この二本立ての組み合わせは不可解だったのだが、
『月の満ち欠け』のヒロイン瑠璃が映画好きで
『アンナ・カレニナ』のチラシを持っていたことで納得。
しかも通う名画座は早稲田松竹!そういうご縁でしたか。

しかしTVでお馴染みの人気俳優の出演のせいか、久々に大行列で参った。
おかげで入る時間が次の回からになり、予定が狂ってしまった。
私が観たかったのは美しきヴィヴィアン・リー演じるアンナの方で、
この作品(『月の〜』)は特に観たいわけじゃなかったんですけどね…

原作は未読だし、映画内容も宣伝でちょっと目にしたくらいなので、
殆ど白紙状態で見たのだが、予感していた通りまるで乗れなかった。
生まれ変わりという設定に説得力がない
(子どもが子どもらしからぬ雰囲気には全然見えないし、
あの程度の絵、何ならもっと上手い絵を描く子なんかざらにいる)し、
ヒロインの過酷な結婚生活も図式的上滑りで奥さんらしくも見えない。
物語に共感出来ないのだから白々とした気持ちで眺めているしかない。

80年代の高田馬場駅前の再現で、
ああ当時ビックボックスはこんなデザインだったな、とか
そうだ名店街ビルの二階にレコードのムトウが入ってたな、とか
消えてしまった風景が記憶に蘇ったことが唯一の収穫だろうか。
大隈庭園を望むリーガロイヤルホテル東京は、
絵になるから本当によくロケ地に使われますね。

『アンナ・カレーニナ』は期待通り堪能。
ラスト近くのアンナの心のつぶやきが
脈絡もなくぱっぱっと浮かんでくる場面、
原作でもとても心に響いたけれど、映画も印象的だった。
善良でやさしい人だったのに、
彼女の美こそが彼女を不運に陥れたとしか思えないのが不憫。
それにしても今観ると、皆が英語で喋ってるのが不思議
(英映画なので当然なのだが)。
ロシアの物語なのだから、元々のロシア語の響きを聞いてみたい。

・長靴をはいた猫と9つの命(TOHOシネマズ日比谷) 2月22日
猫の日ジャパン・プレミア試写会
https://teens-ch.mynavi.jp/present/2382
主役の猫を山本耕史くんが吹き替えたということで応募したのだが、
事情により舞台挨拶に当の主役が登壇出来なくなってまことに残念。
映画のストーリーはオリジナルのようで、主役は大衆に人気のある太っ腹な盗賊猫。
猫は9つの命があると言われて怖いもの知らずだけれど、これまで命を粗末にし過ぎて
今が最後の命。
願いを叶える願い星にたどり着く地図争奪戦に巻き込まれ、
以前良い仲だったのに裏切ってしまった女猫もからんで…という波乱万丈の冒険譚。
子ども向けかと思っていたけれど、耕史くんは渋めの声で男っぽく、
冒頭でギターをかき鳴らし、歌い踊る場面などもある。
ちょっと情けないところもありつつチャーミングだったが、
もともと3DCGアニメは好きではないので、一回観ただけで十分。過剰なCGは疲れる。
マザーグースやミダス王の黄金の手など西洋のおとぎ話が色々組み込まれていた。
あと、オリジナルだと「Puss in Boots」が主役の呼び名及びタイトルなのだが、
日本語訳だといちいち「おい、長靴をはいた猫!」とか「俺は長靴をはいた猫だそ」
というのが長すぎていささかもたれるなと思った。

・秘密の森の、その向こう
・スペンサー〜ダイアナの決意 (早稲田松竹) 2月25日
http://wasedashochiku.co.jp/archives/schedule/27454
『秘密の森〜』は少女の心の機微の描き方のほどの良さに好感が持てて、
気持ちよく観ることが出来た。ことさら大袈裟にならないのが良い。
この女性監督は『トム・ボーイ』も良かったし、信頼出来る。
森の奥で少女時代の肉親と遭遇し、交流を持つなんて
『思い出のマーニー』を思わせるようなストーリーだけれど、
ジブリ作品を敬愛しているというだけのことはあるな、と納得。

ダイアナ妃の苦悩を描いた『スペンサー』も関心はあったのだが、
思ったより図式的というか、これ見よがしで気が削がれた。
形式的な王室のやり方や人々がステレオタイプの悪役すぎる。
ダイアナの苦しむ姿もいささかしつこくて食傷気味。
綺麗なドレスはいっぱい出て来るけど後味が悪かった。
(ヘンリー王子の『スペア』が批判を集めている時期に見たのも
気持ちが引いてしまった一因かも)

<ステージ>
・木ノ下歌舞伎 桜姫東文章(あうるすぽっと) 2月6日
https://www.owlspot.jp/events/performance/post_255.html
木下歌舞伎は初見。
玉三郎&孝夫(仁左衛門)コンビ上演で心奪われて来た南北の桜姫。
成河さんも石橋静河さんも好きな役者さんだけれど、
ちらしビジュアルや殺風景な舞台装置を見て危惧していた通り、
全然私好みではなくてがっかり。
豪華で色鮮やかな衣装や背景あってこそ歌舞伎。
重たげな刺繍の意匠、揺れる簪、長い袂、粋な文様などのデティールこそ愉楽。
さまざまなものをそぎ落とした陰惨な物語の骨子を見せられてもげっそりするだけ。
静河さんのスタイルの良さ、しなやかな動きには目を惹かれたけれど、
意図的な棒読み台詞も含めて、肌に合わなかった。
ただ普段は出ない寺子屋の場などは初めて見られて勉強にはなった。

・コール・ミレニアム第19回定期演奏会 J.S.BACH作曲 ミサ曲「ロ短調 」BWV232
(東京芸術劇場コンサートホール)2月18日
https://www.geigeki.jp/performance/20230218c/
http://millennium.lix.jp/history1.html
合唱団員のお友達が出演者の一人なので、チケットをいただいて鑑賞。
久々に芸術劇場の大ホールでバッハを聴いて懐かしかった。
こういう時間は心に余裕がないと持てない。

<展覧会>
・交歓するモダン〜機能と装飾のポリフフォニー(東京都庭園美術館) 2月11日
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/221217-230305_ModernSynchronized.html
衣裳や家具、食器などシンプルでモダンなこの時代のデザインはこの建物によく似合う

昨年府中市美術館で観たウイリアム・モリスやバウハウス展にも通じる内容。
椅子の点数がとても多かった。実にさまざまな椅子のかたちがあるものだ。
面白かったけれど展覧会の名称としてはちょっと弱いのではないかしら。
分かる人には分かるけれど、ビギナーを呼び込むにはちょっと。

・諏訪敦 眼窩裏の火事(府中市美術館) 2月19日
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuitiran/exhibition_2022_4.html
圧倒された!
第一部の『棄民』は満州で病のため亡くなった作者のお祖母さまの姿を主に構成。
美しいその面差しと髑髏を重ねたような作品の鬼気迫る迫力。
よくぞシリーズ名を棄民と言い切ったもの。
横たわった屍骸が次第に朽ちてゆく仏教絵画「九相図」を
現代の作品として目の当たりにするとは。
第二部の静物画も本当に引き込まれるような不思議な存在感で
ぐるぐると部屋を何度も巡り、いくら見ても見飽きなかった。
暗い部屋の小さな絵の一つ一つが自ずから発光しているかのよう。
実際にはそれぞれにピンポイントの照明が当たっているのだが。
豆腐の質感や金属のキズまで信じられない存在感。すごいものを見た。

・横山大観と川端龍子(大田区龍子記念館) 2月26日
https://www.ota-bunka.or.jp/facilities/ryushi/exhibition?42922
日曜美術館のアートシーンで紹介されて、
あ、これは観たいとその日のうちに足を運んだ。
大森の龍子記念館に行くのは二度目。
私の大好きな屏風絵「草の実」も展示室を入ってすぐ正面に見えた。
大観のいくつもの富士の絵も気持ちよく眺めた。広々とした気持ちよさ。
出遅れて今回は庭園見学が出来なかった。またそのうちに行きたい。
門の辺りに白梅が綺麗に咲いていた。

<行事>
・田島家かるた会  2月4日

<散策>
大森駅〜川端龍子記念館 2月26日
珈琲亭ルアン
https://otakushoren.com/trip/9541
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