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2021年11月29日13:16

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アバンチュールはパリでと気まぐれな唇 2


アバンチュールはパリで
 主人公が土田晃之と野球選手の誰かを掛け合わせたような顔をしている。ユジョンの他者による悪い噂と主人公が見る彼女自身のギャップが表されるが、制作メソッドとしてそれを演じるアクターが悪い噂の方に引っ張られないようにそこらへんのシナリオ部分を読むことなく演じ無垢さを出すギャップと違い、ユジョンにはいくぶんか噂通りにも感じられる粗忽なところも出たりしているが、どちらにしても主人公がユジョンの全体像を捉えていないところはそこには表されている。現実世界においても、全体像を捉えられていることはありえないし、それはまた、己のみが知る己とて同じことで己も捉えることはできるわけもない。ホンサンスのカメラアイのメソッドは人物ゲシュタルトをすくいとり現実に引き戻すかのように表される。と同時に、彷徨し退行する夢意識のような世界も全体に表される。映画的現実である。途中でユジョンのアパートに入っていく主人公も、最終盤の韓国での恋愛騒動も、あとで振り返れば夢だと納得できるヘンがあり、それらは現実世界の地続きに表され、作品そのものもまたそのような感覚に充ち感じさせるものとなる。ロメールやアレンもまたそうしたところある。


気まぐれな唇
 主人公が別所哲也と野球選手の誰かを掛け合わせたような顔をしている。作品は不毛な旅で出会う女たち、とアントニオーニ的。最終盤、ソジョンが歩いていく路での彼女、アントニオーニのよう。アバンチュールはパリででもそうだったけれど、ホンサンスの主人公は記憶力がパワフリーに悪い。曖昧な記憶のなかで生きている。そのフンワリ感は絵的には、これよりも後に制作されたアバンチュールはパリでの方に引いた距離ゆえより表されるが、この作品では若いがゆえの熱さなどが表され、落ちる盆とグラスのように、いきなり起こるものというものがまだ若いころのサンスゆえか、表されている。



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