シネラであってる中国映画、これまで2本を観る。ひとつはニン・インの無窮動。四人のメイン登場女性のうちアクターはひとりだけで、それゆえノンプロフェッショナルな他の女性たちは目が死んでいて、ウーバーイーツの CMの松嶋菜々子のようなアイラインもしていないので、よりリアル。ファウンデーションの下のシミもうっすら見える。思い出の語りは彼女たちに好きにやらせたのではないか。虚実ないまぜの浮遊感がよい。あんときのアントニオーニも意識しているんだろうな。もう一本は、心の香り。文革批判したけど毛沢東はエポケーして神格化する国策に参加している張芸謀がこの作品を褒めているということだが、アメリカ化をすんでのところで堰き止めし、中国の民には決してファッツアップメ〜ンなんか言わせるものかと、仁・義・礼・智・信と中国3千年を意識化させる今日のイデオロギー対策にフィットしているかのような作品である。決して国内上映禁止のめにあわないような作品である。少年のひとときの物語であるが、ヤンヤン 夏の想い出は未見だから分からないけれど、冬冬の夏休みのドキュメンタリー感覚な映像に比すれば、カイコーやイーモウに近い陰影をつける映像センスである。目線ショットで動く人物たちが安定して見え気持ちいい。話的にも、前述したように、人の気持ちを敬ったり伝統をリスペクトするものが表され、それはそれで、この作品にあっている。決して説教的なものではないものであり、少年の成長を見据えるもので、それが中国的な雰囲気のなかで表される。中国的なセンスがおもしろかった。
ログインしてコメントを確認・投稿する