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2021年11月19日23:03

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それから


あのさ、それからさ、それからおもしろかった。松田優作の高等遊民の位置付けと、あっちはスタジオがやたらではないけれどこっちのスタジオでの撮影による虚構性により比べてしまい、こっちはどうもちまい陽炎座のような感覚になるけど、陽炎座をしばらく観てないのと森田モードもあって、あのさ、それからさ、それからちゃんと見ることできた。海猫の仲村トオル、なんとなくそんな感じでは思えたけれど、松田の立ち位置がよりハッキリさせてくれたから、アンチ保守とアンチ合理の違いはあれど、憎いあん畜生と対峙するアンチ規制概念にしてフェミニストにして贖罪かかえるヒトがクッキリする。

松田宅に彼岸と此岸の間にあるような空間が表され、彼の実家が表されるところ、白い帽子の彼のニョキッとした後ろ姿、明るい現実空間にニョキッと出てくるかのように表され、森尾由美が明るさを現実に添える。彼の自宅は藤谷を想う場所、憂鬱にしてロマンなハレの空間。べルーシが真似をするミフネはべルーシと同じように何を言ってるか分からないとこもある、スタニフスキー・メソッドより先いくリアルだけれど、朗々と棒読みする小林薫のハッキリクッキリ台詞を伝える文芸風がそれからをしっかり支えている。そこで松田は静かに苦悩をおもいっきり表現してみせる。藤谷はちょこんと彼に寄り添いラムネを口にする。彼女が飲む花を生ける水がスキャンダルにみずみずしくある。最終盤、笠智衆を訪れる彼の帽子をかぶった影姿は、最初に実家を訪れたときの彼の後姿と違って、抜け殻のよう。小津のオマージュのようにも表された、前にあった実家の明るさはもはや消え失せている。しかし、家を出た後の彼は実体を実存させるかのようにこちらに向かって歩いている。海猫の場合は救済をはっきりさせていた。そこに救済があるかどうかは見手の感じ方次第だけれど、松田優作がそこでは人の証しとして存在している。短いショットだけれど、ソノコトはっきりくっきりしている。

今回は、家族ゲームよりこっちがおもしろく思えた。

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