アレクサンダー・ロックウェル監督、25年ぶりの日本公開作品とか。たしかにひさしぶりに聞くその名前、今回の主役2人は自身の娘と息子、その母親役が現在のパートナーとはまさにホームメイドムービー。そういえばこの監督、かって懐かしやジェニファー・ビールズと結婚してたっけ、と思ったら製作総指揮の一員に彼女の名前。
15歳ビリーと11歳ニコ、父親アダムは酒に溺れ、母親イヴは育児放棄のすえアダムにも愛想をつかして家を出て行ってしまった。イヴを探す旅に出たふたり、途上で出会った少年マリクをくわえたあたりから物語はロードムービーの様相を呈し、思いもよらないある出来事のあとは、そこに逃亡のニュアンスを強くふくんだものとなる。
全編ややざらついたモノクロ映像、いかにもなインディーズ色が匂うも、唐突に何度かカラー映像が登場。そこに共通するものは読めなかったけど、えてして色彩的にはさほど美しく感じず(端的に言えばドギつい)、むしろモノクロ部分においてカメラが遠景をとらえたときの光と影、風と水が織りなすショットが限りなく美しい。
まさかデヴィッド・ボウイ楽曲を引用したタイトルでは、と思っていたらヴァン・モリソンのほうだった。そのタイトルに反して全編に一貫するのはやるせなく苦い感触。自らをアウトローと称しながらお互いに寄り添う姉と弟。はたしてふたりは世間の大人からの深い愛情と巡り合うことができるのか…最後まで惹きつけられた1本でした。
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