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2020年11月11日02:12

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第33回 東京国際映画祭

第33回 東京国際映画祭
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 世界中で相次ぐ映画祭中止のなかで2020年の東京国際映画祭(以下TIFF)は何とかフィジカルな形で実現された。
これもひとえに陰ながら努力された運営のたまものと感謝するが、やはりコロナ禍の影響は免れない。

 先日閉幕したTIFFでは恒例のサクラグランプリは選出せず(そもそも選考委員がいない)、観客賞のみという変則的な開催。
結果はご存知の方もいるだろうが、大九明子監督の『私をくいとめて』(12月18日公開)が受賞。大久監督は3年前の『勝手にふるえてろ』に続いての同賞受賞となった。

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 さて、ワタクシはと申しますと、事前にスケジュールが読めなかったこともあり(また申し込み当日にプリンターの調子が悪かったこともあり)ギリギリに絞った1本、『燃ゆる女の肖像』(12月4日公開)だけ何とかゲット。

 ただ、急遽仕事の空きができたためにもう1本『皮膚を売った男』も滑り込みで鑑賞できた。(というかもう目ぼしい作品は売り切れていたのだ)

 備忘録としてこの二本の感想をあげておく。

『皮膚を売った男』
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【作品解説】
 シリアから脱出した男が、現代アートの巨匠から驚愕のオファーを受ける。それは男自身がアート作品になることだった…。移民問題での偽善や、現代アートを巡る知的欺瞞を鮮やかに風刺する人間ドラマ。(公式サイトより引用)

 チュニジア出身のカウテール・ベン・ハニア監督の手によるもの。
過去には米アカデミー賞外国語部門にチュニジア代表として選出されたこともある監督。

 生きのびるには選択肢のないシリア難民の男を通して歪んだ世界を描き出す。
背中に芸術家がタトゥーを入れることで彼自身が作品となるのだ。
皮肉なことに自由に国外に行けない難民が“アート作品”となることで移動できる自由を得ると同時に、展覧会の都合に縛られる不自由が生まれるというパラドックス。
自由になる事への考察に頭を抱える。

 何でも実際にブタにタトゥーをするという芸術家がいるそうで、そこから着想を得たそうだ。
シリア難民を演じた俳優の存在感抜群で演技経験に乏しいとは思えないほど役柄にハマっている。
予想だにしないアッと驚く結末が待ち受ける。
脇役でモニカ・ベルッチも出演。

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『燃ゆる女の肖像』
https://gaga.ne.jp/portrait/

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【作品解説】
 18世紀、フランス、ブルターニュの孤島。望まぬ結婚を控える貴族の娘と、彼女の肖像を描く女性画家。結ばれるはずのない運命のもと、一時の恋が永遠に燃え上がる――。
(公式サイトより)

 一般公開がもうじきなので、あまり記すことでもないが、『パラサイト』がカンヌでパルムドール受賞した年にLGBT作品を対象にしたクィア・パルム賞と脚本賞を受賞している。
セリーヌ・シアマ監督にとって4本目の監督作品。(3本目は日本未公開)
過去2本の公開作と脚本を手掛けた『ぼくの名前はズッキーニ』を鑑賞している。

 一言でいうなら「火と水の融合」
画家マリアンヌと貴族の娘エロイーズの関係も含めて火と水が象徴するシーンが目に付く。
(ちなみにこの二人の衣服の色彩も対比的)
これまでのシアマ監督の作品を見ても水につかるシーンに特色があるように感じられる。
火も水も共にメタファーとして使われるが、対になるエレメントでありながらどちらも生命のポジティブさと時に死を意味するものでもある。
一人が光の中に立ち、一方が影の中に身を置くシーンなど“意味深”な演出には事欠かないので、シネフィルには期待を裏切らない作品になっていると思う。

 主要キャストはすべて女性だけで構成されて、壮大な風景をバックに比較的こじんまりとした舞台のようなアンサンブル劇が展開される。
脚本家出身の監督らしい作品と言えるだろう。いや、女性作家だからこそ描けた繊細さと言ってもいいのかも。

 この映画の前に破局したというが、長らく公私ともにパートナーだったアデル・エネルがステリアスな貴族の娘を演じる。
眼光鋭い女性画家を演じたノエミ・メルランが少しエマ・ワトソンに見えた。

 燃え上がる情念をしかと目に焼き付けよ。

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