《2020京都1》緑庭

京都がおいらを招いている。早速、レンタサイクル屋さんに予約電話。
とても元気で景気のよさそうなおっさんが現状を語ってくれた。
「予約？いらんいらん。売るほどあるわ」
たとえ4連休であろうが「ほぼ無人や」と、開き直りの明るい声。
コロナがやってきた2月あたりからおかしくなり、もはや壊滅。
きっとGo Toだろうが同じことだろう。

京都から在来線に乗り換えて嵯峨嵐山。
電話で会話したおっさんが迎えてくれて、大量の自転車在庫から「510番」を貸し出してくれた。
「Go Toやからね510番でええやろ」
とっても暇なのだろう。嵯峨野のマップを取り出して、観光推奨地をぶっとい赤鉛筆で一筆書きしてくれたのだが、描いた赤線が太すぎてほぼ導線がわからない。
とりあえず、出掛けよう。
長梅雨の雨予報。無条件降伏でビニール傘を準備していたが、神通力はまだ落ちてはいない。気になる雨も降ったけど、自転車を乗りながら傘を差すようなアクションは無用の初日だった。

《清涼寺》
目的の寺に寄る途中、魅力的な本門に途中下車。
鎌倉同様、京都寺院の参拝は金次第。
青年の頃なら、そんな300円もケチってきたけど、大富豪（自称）の今なら懐は痛まない。原則、機会あれば金を払う



《祇王寺》
もしかしたら、今回の京都マイベストだったかもしれない。
それだけの衝撃。
曇り空で木漏れ日など射すはずがないのに、祇王寺の苔庭は光っている

苔寺で観た千畳敷の遊庭とは異なり、ペリドットを撒き散らしたような、まるで小さな宝石箱。嵯峨野に着いてわずか15分後に、この感動。来てよかった。

入り口の寺事務所ですでに御朱印をお願いし書き置きをいただいていたが、院内のギャラリーで見かけた御朱印帳に一目ぼれして、寺務所にお願いして書き置きの御朱印を交換。
これで13冊目となるが、どうだろう。ベスト１クラスの御朱印帳としておこう。

全く無関係なことではあるが、祇王寺を出て自転車に跨った。
この時、ふと『ひかりごけ事件』が脳裏に降りてきた。
劇団四季で観覧したストレートプレイ『ひかりごけ』。浮かんできた意味は今もわからない。

40数年も前の記憶なのでかなり不確かだが、中学時代の修学旅行に天龍寺拝観をしたのだろうか。この時に行っていれば2回目、行っていなければ初めての天龍寺、世界遺産。
次なる目的地をここに定めて、レンタサイクルおじさんの書いた地図を辿っていく。

《御髪神社》
トロッコ嵐山駅。脇の山を登って下りれば天龍寺北門へたどり着く。
その前に睡蓮の咲き誇る小倉池と、小さな小さな御髪神社。
お陰様で髪の毛はいまも、この先もフサフサなので心配はない。ちょっとあれな友人たちのために拝んでおこう。


4連休の京都。
ここまで「混雑」という文字を知らず、かなり快適な寺社参拝ができている。
一滴の雨も落ちてはこない。

《竹林の道》
そして、竹林の道。
これまでなら、自転車を乗ったまま降りていくことなんて不躾は当然だし、そもそも人ごみに自転車を曳くことすら迷惑千万。
7月24日、パラレルワールドな日本ではオリンピックの開会式を控えていた頃、竹林の道を自転車でゆったり走る自分がいた。
（つづく）


■観測史上初　台風発生のない7月となる可能性
(日本気象協会 - 07月26日 12:11)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=174&from=diary&id=6171350