『
第三夫人と髪飾り』
トラン・アン・ユンを思わせる瑞々しい映像美が印象的…と思ったら、なんとトラン・アン・ユン本人が美術監修を務めている。
19世紀、絹の里を治める富豪の第三夫人として嫁いできた14歳の少女の目を通してベトナムの封建的村社会を描く。
そこには美しいシルクの向こう側に透けて見える「世継ぎを生むこと」しか期待されない女性たちの悲劇が横たわる。
男社会、家制度の不条理の陰で抑圧される女性の自由と権利。
一夫多妻制度にもかかわらず、思いのほか妻たちの足の引っ張り合いにならないのは少し意外な気もしたが、案外そんなものかもしれない。
また寄り添わないと生きていけない厳しさの裏返しか。
そこも含めて女性監督らしい作品に思えた。
トラン・アン・ユン監督の公私に渡るパートナーであるトラン・ヌー・イエン・ケーが第一夫人を、そして無垢でありながら官能的な第三夫人を新人のグエン・フォン・チャー・ミーが演じる。
ともかく風光明美な景観や伝統的な衣装など見どころは多々ある。
花のつぼみ、養蚕などの隠喩的表現も巧み。
「絵のような…」が強みであり弱みでもあるが、個人的には嫌いじゃない。
英題はTHE THIRD WIFE。邦題の「髪飾り」はわざわざつける必要があったのかは疑問。(文字通り飾りにしか思えない…)
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