『
ハウス・ジャック・ビルト』
一筋縄ではいかないラース・フォン・トリアーの新作。
苦手な人には永遠に和解できないだろうが、熱心なファンには代えがたい個性的な魅力を持つ。
カンヌでお披露目された際に途中退席者続出というのももっともな話で、題名のローカライズにも注文が付いたというのもトリアーらしいこだわり。
ラース・フォン・トリアーが鬱時代を抜けて描くシリアルキラーのスリラーだが、随所に彼らしい演出が見られる。
シリアルキラー<ジャック>(マット・ディロン)の家を建てる計画性と殺人という破壊と創造が並列するようで面白い。
強迫観念に駆られて何度も現場に戻る姿は実にコッケイ。
少年時代のジャックが大鎌で草刈りする農夫を見つめる先に見えているのは死神の鎌なのか。
ブルーノ・ガンツが聞き手役を演じるが、ダンテの「神曲」に理解があると解釈の一助となるようだ。
かなりグロいシーンも多いし、この不条理感が苦手な人もいるだろうが、過去の鬱作品よりも取っ付きやすく感じるのはこのユーモアのためだろうか。
やはり一筋縄ではいかない作家だ。
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