『
誰もがそれを知っている』
『別離』『セールスマン』で知られるイランの名匠アスガー・ファルハディがイラン世界から離れて描いているのが興味深い。
隠してきた家族間の秘密が一つの誘拐事件が元で明るみになる。
事件そのものは解決したとしても、二度と<昨日には戻れない>というヒリヒリした肌触りはファルハディらしさを感じる。
結婚式に端を発しているのも効果的で、その後の落差が人間の心の闇を映している。
決して珍しい題材ではないにしても脚本に手練れを感じる点。
往々にして制約があるゆえに名作が生まれるということもあるだろうが、真の実力者には無縁であることも、また真実だろう。
しかし、今回の作品に関しては(イランという蓋が外れたからではないだろうが)、どうにもこの監督にしては印象が弱い。
娯楽色が強く出過ぎてしまったのが災いしたか。
個人の秘密を隠しきれない小さな村社会の存在はよくわかる。しかし、それなら犯人像も?
…と訝しんでしまう。
もっともミステリーよりも人間ドラマが主眼だろうからこの推測は無粋というものか。
実生活では夫婦であるペネロペ・クルス、ハビエル・バルディに当て書きされただけあり好演している。
特にペネロペは英語劇よりも母国語での芝居がしっくりくる。
ログインしてコメントを確認・投稿する