『
未来を乗り換えた男』
現在のフランスをドイツ軍が占領していたらどうなのか。
ファシズムが席巻する第二次大戦の構図を今に時を移して、なおかつ21世紀の難民問題を織り込むというユニークな手法で語られる。
『東ベルリンから来た女』などのクリスティアン・ペッツォルト監督がアンナ・ゼーガースの小説「トランジット」を映画化。
原作自体は1940年代の“現代劇”だったが、それを21世紀の“現代劇”に置き換えた。
この着想が見事。
ドイツのファシズムを嫌いフランスへ逃げてきたゲオルクがふとしたことで別人の人生に“乗り換えて”、ドイツ軍が迫るフランスから脱出を試みる。
偶然と運命が入りまじったサスペンスドラマで、ハラハラしながらも他人の人生に乗り換える意味と向き合う普遍性を見せる。
時折、幻想とも取れる現象が混じるのは、厳しい現実の中にもかすかな希望を持たせたいという監督の願いではないのか。
ただ、(おそらく)現代を舞台にしている割に“あるはずのアイテム”を意図的に排除していることに気が付くだろう。
演出上やむを得ないとは思うが、それが寓話性を高める。
登場する聴覚障がい者や壊れたラジオの意味などはファシズムの闇を意味づけるようだ。
本作が荒唐無稽な設定でもリアルな重みを感じるのは、実際に原作者の体験した亡命劇の裏付けがあってのことだろう。
ゲオルクらが目指す希望の地が《あの国》というのはさすが欧州映画、皮肉が効いている。(笑)
ところで、明日からしばらく多忙につき、今度劇場に行けるのは来月になりそう…。(涙)
(観たかった“あれ”とか“あれ”とか終わってしまうだろうか。)
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