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2018年09月22日10:44

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邦画ちょこっと覚え書き 18


『恐怖女子高校 女暴力教室』
まさに恐怖であった。教師を油断させて闇討ちのシーン、すごかった。演出的に鈴木則文、まさにカッコよいと思えるのである。ハナシ的ストラクチャーは任侠ものによくある感じの、主人公が宿命のライバルと宿命的に出会い、謎のそのライバルは組織に身を隠し潜り込み組織のボスに近づくも、ボスの悪行に怒りを抑えきれず、と同時に悪行の事実を掴み取り大魔神にヘンゲするかのように主人公とともに組織を一網打尽にするもの。そうした作品のハナシの流れに入り込む、そのとき、渋谷でも新宿でもない、池袋にありそうなちょっぴりダサい制服熟女バーに迷い込んだセンスに導かれ、ウチらパンチラ、とエロを発散され、遂には地獄に真っ逆さまの如く破壊的にぼったくられ、その落ち込み度から急展開に、女同士の任侠道に共感してしまい天に舞い上がるかのような感覚に陥らせてくれる。やはり池玲子と杉本美樹のコンビはかっこよい。タイマン仁義である。池の黒薔薇婦人的JK、可憐に弾く皆殺しのメロディ、そしてライフルを撃つウェスタン姿カッコよい。杉本の無表情ぶりに啖呵キル姿、そしてラストの立ち姿、ソークール。その立ち姿とメッセージ、彼女のこれまでやってきた悪行も受け入れ納得させられてしまうぐらいに、圧倒される。鈴木則文、スゴい。東映らしく、由利徹や大泉滉たちの客演もまたヒカっている。

『花と蛇 地獄篇』
谷ナオミと麻吹淳子は知っていたけど、麻生かおりははじめて知る。ジェームズボンドはコネリーかムーアか、どちらかのタイプに交代しながら代々襲名してきているけれど、麻生かおりは初代静子、谷ナオミ的への回帰的な和風、されどエイティーズらしい静子令夫人、肩パットとソバージュが似合うような、眉フト美人である。義娘の藤村真美もまた眉毛は太目、杉本彩的にコマネチ、もとい高慢ちきなムスメっ子である。母娘の愛憎がひとつの支柱としてあり、そして一方で、団鬼六らしく下男のブルジョワに対する愛憎も表される。西村昭五郎は原点回帰的に下男の怒りを爆発させしめる。しかしながら、もはやエイティーズ的にプライマリーストラクチャーしているジャポニーズ、人間性よりも合成樹脂に重きをなすかのように、薬師丸のようなカ・イ・カ・ンであり黒木瞳的に化身でなければならない。アンニュイなるその表層性、敵対していたふたりが遂にはラヴラヴになる顔の寄せ合い、ドールズのよう。不自然というよりは、なんなんだこれはexclamation & questionが表され、逆にプラスティックに萌えさせてくれる。

『団鬼六 縄炎婦人』
麻吹淳子において縄地獄や縄飼育ほどストレートにこないが、一人二役なのであろう、死体を演ずるとき、揺り動かされても瞬き全くせず、とてもドール。役に憑依している。まさにM嬢だ。一人二役の麻吹のヘンゲ遂には、志摩いずみが麻吹の亭主に言うあんたの言う虫けらとなるのだが、そのラストの変化、人格否定でなくシニフィアンなくしてシニフィエの人格肯定がXTCとして表されるかのよう。そこが救済に感じられるかどうかはオーディエンスそれぞれに委ねられるのであろうが、団鬼六的には彼が考えるものはいつも、そうした形の救済が表されているのではなかろうか。十代目幸四郎と二代目吉右衛門とあなたご兄弟ですか?と尋ねられてしまうかのような顔立ちの男優さん演ずる麻吹のご主人のブルジョワジー精神がズタボロ乃至どっちつかずの宙ぶらりが、橋の上に立つ彼、そして彼に対応するかのような、反対方向にそれぞれ歩いてゆく女性たちに表されるが、全体的にフィジカリー、ピンとこない。ちょいと難しかった、そんな作品であるが、その一方、縄地獄や縄飼育よりも、もしかしたら女性には理解できるフィジカルなストラクチャーが表されているかのようにも感じられる。



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