不動明王様が持っておられる剣が慈悲の剣です。剣というものは本来生き物を攻撃するためのものですが、不動明王様の剣はそういうものではありません。
広義で言えば人の弱い心を切り捨てるためだったり、邪念を切り払うものだったりします。しかし私はこの剣は御仏の慈悲の心が表されたものだと思っています。
頑張れ、強い心を持ちなさい、自分の弱い部分をしっかりと認識していつでもそれを強い気持ちに切り替えられる決意を「剣」の形で持ちなさい、そういう意思が表されるものだと思っています。
剣は切り捨てるだけのものではなく、強い心の象徴としての意味が強いのだと考えます。
日本人が名刀と呼ばれるものに心惹かれるのは明鏡止水、そういう静の心を刃紋に映して心の象徴として見るからだと思います。
不動明王の剣には黒龍が巻き付いています。炎の化身でもあるお不動さんに水の化身である龍神が就いているというのは強い心というのが燃え上がる熱意だけではなくて、そこに冷静で静寂を中に秘めた心でなくてはならないとする理想の心の状態を表しているのかもしれません。
頑張れ、応援しているぞという慈悲と励ましの剣が不動明王の帯剣なのだと思われます。
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