『ラスト・ショー』
シビル・シェパード、『タクシードライバー』のベッツィのようには惹かれなかったけれど、それでもやはりボグダノヴィッチのミューズである彼女、輝きを銀幕に灯している。彼女はスクリーンに浮かび上がる、欲望の曖昧な対象たる映画に活き活きしたものを形づくる。彼女ジェイシーはソニーやデュエーンの眼差しのなかで煌きながらも不確実な曖昧さを放ちながら存在する。
不確実なものを追いながら、慈しみ愛さなければならないものを忘却するかのようにしりぞけてしまうアメリカ、、、描かれるこのこと、別段珍しいものでもなく、ニューハリウッドにおいてはよくあるテーマであり、70年代初頭のベトナム戦争がまだ行われているアメリカにおいて、現在からみれば、数多ある映画作品が描いたテーマであるけれど、ボグダノヴィッチのシミジミとしたタッチ、登場人物たちの心情をこちらに届けてくれる。グッとくる。
映画研究家としてたくさん観ているのであろう、丁寧といえば丁寧だが、まるで映画学校の生徒が在学中につくるようなカット割り、しかしそのマチュアではないものも、遂にはラストのクロリス・リーチマンの目線による心情を掴ませるものとなる。
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かつてはコッポラともども三大巨頭と言われ、彼とともにプロダクションを創設したウィリアムフリードキン(『エクソシスト』『フレンチ・コネクション』)ピーターボグダノヴィッチ(『ラスト・ショー』『ペーパー・ムーン』)であるが、80年代以降は下降気味。異端を推し進めその独自性によって西野七瀬の如くセンターを勝ち取った-それは即ち後続の人々に影響を与えたということでもある -スコセッシやアルトマン、或いはその独自性を確保し続けたウディアレンと違い、忘却の彼方へとなっていたが、今世紀に入りロッテントメイト―的にウケがいい作品を創っている。
『キラー・スナイパー』(フリードキン)こんど観よっと。
『ブロンドと柩の謎』(ボグダノヴィッチ)こんど観よっと。
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ティモシーボトムズ、70年代前半は立て続けに凄い作品に出ていた。どこに行ったんだ!ティモシー! 盟友のジェフブリッジスはオスカーとちゃったよ。
『ラスト・ショー』
『ジョニーは戦場へ行った』
『ペーパー・チェイス』
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