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2018年01月28日00:14

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1186 ウインナボックスというオルゴール

19世紀初頭、オーストリア・ハンガリー帝国のウイーンやプラハにおいてウインナ・スタイルと呼ばれている小型のシリンダー・オルゴールが製造されていました。ウイーンとプラハのオルゴールは現代のコレクター達によってそのクラフツマンシップと優れた音質が高く評価され、収集家にとって最後に収集対象となるといわれています。

典型的なウインナ・スタイルのオルゴールは簡素なデザインで四隅に三角の補強が入ったケース、比較的大きなスプリング・モーター、低音部の櫛歯がガバナー寄り(向かって右側)、単純な形のガバナー・ベーンと言う特徴を持っています。最も多く作られた2曲モデルのシリンダーは長さが100mm、直径が25mm、櫛歯は80または83本です。全生産期間を通じてすべてのモデルは元の設計を変えずに生産されました。主として時計(写真1)、ミュージカル・タブロー(風景の一部に時計台等が描かれた油絵)、手芸用バスケットなどに組み込まれていました。スタート・ストップや曲目変更はムーヴメントの底を通っている紐(コード)によって操作されるものが多いようです。

スイスとは異なる設計にしなければならなかったのは当時のヨーロッパの政治状勢に起因するものがありました。1815年にウイーン条約が結ばれスイスの中立が保障されましたが、同時にスイスからオーストリア・ハンガリー帝国に対する禁輸措置が講じられました。オーストリア・ハンガリー帝国で販売されるオルゴールは部品も含めてスイス製と間違われてはいけない、つまり一見してスイス製とは異なる外観を持っていなければならなかったためです。

プラハにおいてはフランチシェック・ルツェビチェック(Frantisek Rzebitschek)がアロイス・ヴィレンバッハーとともに1819年に創業しました。事業は息子のグスタフ(Gustav)によって継承されましたが1897年に社業を閉じております。

今晩オークションに出ていたのは、このフランチシェック・ルツェビチェック製の小型シリンダー・オルゴールです。巻上げキーとチューン・シートは紛失。価格は60ユーロ(≒8千円)、手数料29%はお買い得。ドイツで開催されていたので日本時間では夕方のアクセスしやすい時間。マイセンのかわいい人形がたくさん出品されていましたがほとんどが不落札で異様に速いペースで進行。オルゴールはプロが目を付けていたのでしょう、あっという間に550ユーロ(≒7万円)。これは負けです。

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