『
ヒトラーへの285枚の葉書』
気になっていた作品だったが、なんとか東京最終上映に滑り込み。
ナチスに抵抗した人々の逸話は事欠かないが、こうしてまだ埋もれていた実話が掘り起こされる。
一人息子を戦争で失ったベルリンの夫婦がナチス批判の絵葉書を街中にばら撒いて抵抗運動を繰り広げるという実話に基づく映画。
息子を戦死させられた両親、ユダヤ人をかくまう判事、論理的に捜査するゲシュタポの警部、それぞれ立場は違っても己の“正しい道”を貫き通す。
そこには確固たる信念が見えて堂々たるもの。
ただ一つの例外は不条理な屁理屈を押し通すナチスの高官らの姿。
名もなき庶民の小さな反論でさえ神経質になり、一切の批判を許さないという言論の自由を封印する権力者に未来はあるのか。
その意味ではキナ臭い社会情勢が蔓延しつつある今こそ意義ある提言である。
ただ、息子を失くしてナチスにノーを突きつける父のオットーは事前にヒトラーやナチスをどう思っていたのかが今一つ伝わらない。
そこの落差があればもっと説得力が増したのではないか。
密告を命じられる姑息な住人がフェードアウトしているのも弱い印象を受ける。
葉書を読んだ人の反応の描写は薄いが、英題が“Alone in Berlin”で、夫婦の孤立を強調したいがための手法だったのだろうか。
ブレンダン・グリーンソン、エマ・トンプソンらの演技には引き込まれるが、ダニエル・ブリュール演じる警部の最後の行動はいささか唐突に思わなくもない。
邦題にはヒトラーとかナチスをつけたかったのだろうが、葉書はヒトラー宛…じゃないよね。(苦笑)
ログインしてコメントを確認・投稿する