圏央道入間インターから藤沢インターや大磯インターまでは約一時間。充分に日帰りドライブができる距離である。
というわけで日曜日に巡礼旅をしてきた。
一人目は村上春樹さん。どこかのエッセイで大磯にある井上蒲鉾店が絶品であるということを書いていて、いつか訪れてみたいと思っていた。まずはそこへ寄り、すべての品目(といっても蒲鉾とさつま揚げとはんぺんの三種類しかないのだが)を一つずつ購入。当然ながら夕食に食べた。店員の女性によると、前日放送された「もしもツアーズ」で紹介されたらしい。
二人目は海老沢泰久さん。十二年前に「鎌倉と東慶寺」というエッセイを読んで以来、ずーっと行ってみたいと思っていた。大磯をあとにして北鎌倉に向かった。
このエッセイで海老沢さんは以下のように書いている。
「東慶寺は江戸幕府公認の縁切り寺だった。駆け込んだ女は尼僧として二年間過ごせば離縁できることになっていた。しかし実は、駆け込むには相当の冥加金を納めなければならず、さらに納めた額によって三段階の等級があった。そして一番下の下女級の格であっても、親か兄弟が相当の金持ちでなければ駆け込めなかった」
そして海老沢さんは「そうした事情を知らずに駆け込んだ女もいただろうから、彼女たちはどうなったのだろうと、胸が痛んだ」と結んでいる。
ぼくは東慶寺のそうした歴史的背景とともに、海老沢さんに想いを馳せた。
(寺内にあったさざれ石)
せっかく北鎌倉に来たのだからと、あじさい寺として有名な明月院(あじさいは咲いていなかったけど)と建長寺も歩いた。
(左 明月院、右 建長寺)
ランチに寄ったのは明月院のすぐそばのフレンチの紫(ゆかり、と読みます)。牛頬肉のビロード煮も柔らかくておいしかったが、プリンも実にクリーミーで絶品だった。
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