『
はじまりへの旅』
物質文明に批判的なスタンスは、70年代のヒッピーに近いだろうか。
最新の便利グッズやシステムとは無縁でも、肉体的な充足感で人生を豊かに感じる。
そんな生き方を選んだ両親の元で育った6人の子供たちが母の葬儀で街に出ることとなり、ギャップを覚える。
「自然に帰れ」ではないが、人間の原点的な生き方を貴ぶというスタンスは一定の説得力もある。
…が、もし現代社会で生きて行かなければならない状況になったら、はたして子供たちは順応できるのだろうか?
自然相手にサバイバル術を身に着けて、読書を通して高等な文学に親しんでいたとしても他人と交流しない生き方は“正しい”のだろうか?
ふとそんな疑問が頭をよぎる。
ハンバーガーやコーラ、ナイキやアディダスも知らない自然児たちが街で見聞しながら自立してゆく成長物語ではあるが、想定された予定調和の枠を出てない印象を受けるのは損かも。どこかに作品として決定的なものの欠如を感じてしまう。
反旗を翻す男児に比べて女児の描き込みが浅いのも物足りなさを感じた。
“腐った社会”を捨てた親にとってはいいことであっても、それはエゴであり歪んだ押しつけではないのか?
他の事に置き換えてみることは出来そうである。
ノーム・チョムスキーを信奉する父親ベン・キャッシュを演じ、オスカーノミネートもされたヴィゴ・モーテンセンのワイルドぶり(!)と存在感は一際目を引く。
細部の(父親のTシャツ!)徹底した作りには感服。
某バンドの有名曲のカバーにはウルっときた。
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