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2016年12月19日13:46

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『ヒトラーの忘れもの』

『ヒトラーの忘れもの』

 戦争が終わっても少年兵の悪夢は終わらない。
第二次世界大戦時のデンマークの黒歴史をマーチン・ピーター・サンフリト監督が脚本に3年をかけて紐解く。

 ナチス・ドイツの占領から解放されたデンマークが舞台。
タイトルにある『ヒトラーの忘れもの』は海岸線に無尽蔵に仕掛けられた地雷群のこと。
当然、誰かが撤去作業をしないとならないのだが、それをドイツ兵にさせる。
一見すると筋が通っているような気もするが、配備されたのはまだあどけない少年兵の姿。
戦争がなければ親に甘えて暮らしていただろう年頃の子供たちに大人が仕掛けた尻拭いを背負わされる。
戦後の地雷処理にはこうした少年兵も多く動員されたという実話を基に製作されたようだ。
(デンマークはドイツの保護国で交戦国でなかったから捕虜に対してのジュネーヴ条約は適応されなかったらしい。また、ドイツ兵に地雷処理を勧めたのは英国ということ。)

 鬼教官のように厳しく管理するラスムスン軍曹はモチベーションをあげるために「地雷撤去が終われば帰国できる」と持ち掛ける。
死と隣り合わせの危険な作業の中、体調不良や飢餓と戦いながら少年兵らは祖国へ帰れる日を夢見る。

 鬼軍曹も人の子、昨日までは憎い敵と思っていても軍服を脱ぎ去れば“過去に責任を負う世代”と“未来を担う世代”の違いをハッキリと感じる。
地雷処理も満足に知らない子供たちと軍曹との緊迫する関係は次第に変化を見せる。

 一瞬の気のゆるみが死に直結する状況とのどかで美しい海辺の対比が強烈。
実際に地雷が埋められた海岸での撮影もリアリティを感じる。

 人を信じられるかというのが、裏のメッセージにつながっているのだと思うが、どちらの答えもあったであろう中で監督の出した答えに人間性を見た思いがする。

フォト


 本作は昨年の東京国際映画祭でコンペ出品されて好評だった。(映画祭タイトルは『地雷と少年兵』)
http://2015.tiff-jp.net/news/ja/?p=33426
また2017年のアカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表作で、第一次選考を突破した9本の一つ。(それなのに今後増えるとはいえ日本では全国でたった2館の上映。都内…いや関東圏でたった1館。)
他には『Tanna』(豪)、『Tony Erdmann』(独)、グザヴィエ・ドラン『たかが世界の終わり』(カナダ)、『別離』のファルハディ新作『The Salesman』(イラン)、『King's Choice』(ノルウェー)、コンチャロフスキー新作『Paradise』(露)、公開中の『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン)、アニメ『My Life as a Zucchini』(スイス)がある。

ファルハディ新作も気になるけど、独代表の『Tony Erdmann』が有力そうな感じ。

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