『
シアター・プノンペン』
カンボジアのクメール・ルージュを扱った映画には『消えた画 クメール・ルージュの真実』も記憶に新しいが、こちらは女性監督らしく恋愛の色合いが濃く出ている。
ヒロインの大学生がふと迷い込んだオンボロ映画館で、かつて女優だった時代の若き母親の姿をスクリーンに見つける。
映画館の支配人によくよく話を聞けば映画の最終巻は粛清で消失したという。
かくして母親の若いころとウリ二つの娘は映画を完成させようと奔走する。
クメール・ルージュは知識人の弾圧で国民を大量虐殺したことでも知られる。
映画人もそれに倣って被害にあったが、それが後年になり弾圧した映画によって暴かれるというのは皮肉なもの。
失われたフィルムへの愛着という点では、さしずめカンボジア版『ニュー・シネマ・パラダイス』と言ってもよいか。
家族に隠された謎が話を面白くしている。
映画館主の秘密よりも顛末はちょっと予想外だった。
母親が出演していた映画「長い家路」というタイトルも意味深だし、蓮池のショットも象徴的。
最終リールが失われていることも、最後を撮りなおすことの意義も考えさせられる。
女性ではカンボジア初の監督というソト・クォーリーカーがメガホンをとる。
映画の出来栄えよりも志の高に評価すべき点があるだろう。
かつての負の遺産を忘れてはならないという意味においても一見の価値はある。
今のカンボジアを写し取ろうとしたオールロケの風景や民族衣装が印象深い。
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