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2016年09月18日09:20

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マハゴニーアフタートーク(9月13日夜)

9月13日夜公演後のアフタートーク。
*簡単なメモは取りましたが、言葉尻などは多少違っているかと思います。
 だいたいこんな内容だった、ということでご了承ください。

カーテンコールの定番となったらしい一曲、
♪死んだらそれまでさ〜
に湧いた後の客席は興奮さめやらず、席を立つ人は見当たらない。
後方にキャデラックを残してがらんと空いた舞台上に
黒い椅子が四脚運ばれ、一脚はやや下手寄り、
三脚はやや上手寄りに並べられた。

やがて下手からMCの阪清和(さかきよかず)さん登場。
当公演プログラムの執筆・編集を手掛けられたというだけに、
作品への理解が深く、的確にツボを押さえた質問をされるので、
短い時間ながら(20分くらいか)、充実したトークとなった。

トークゲストは一人ずつ下手から登場。
(舞台上の市民席、「奥」コーナーと「手前」コーナーの間が
下手通路のように使われている)
まず一番に出て来たのはジムの耕史くん。
最後の場面のつなぎ作業服姿のままだけど、
役は抜けてふわっとした雰囲気。
つづいてコップを手にした音楽監督・ピアノ担当のスガダイローさん。
ゼブラのような白黒模様のてろんとしたシャツはプログラム写真と同じ。
耕史くんがさかんにコップに対してツッコミを入れているので、
中身はアルコールらしい。
「こういう場は慣れてないんで。これは気付け」と照れるスガさん。
白井さんはいつも通り上下とも黒でひっそり控えめな登場。
上手側スガさん、真ん中耕史くん、下手側白井さんの並びで着席。

・今日で7公演終わったわけですが、今のお気持ちは?

耕史
「毎回スリリングで、何度やってもこなれていかないというか、
 それが色なんでしょうね。
 白井さんのトライというか、すごくいろんなことが詰まっていて、
 みんな結構大変です。でもだからこそ毎回”生きている”って感じ」

スガ
「僕はもう楽しくって。ワルノリ演奏してるから。
 よく怒られるんですけど、ワルノリ大好き(笑)」

・歌う方も大変ですね

耕史
(スガさんを見ながら)
「あんな格好してると、チンピラにしか見えない」

スガ
「サファリっぽくも見えるでしょ。
これは僕の私服だと思われてるみたいだけど、違うから」
(*舞台衣装ってことなのかな)

白井
「灯が入った状態だと、この舞台は本当に広いですね。
この四月から、正式に劇場監督となりまして、
ここでしか出来ないことをやりたかったんです。
客席の前のほうまでつぶして、贅沢に使わせてもらってます。
この一番前から奥まで50m近くあるんですよ。
その広さの中で、スガさんはどんどん攻めた演奏をして、
俳優さんたちが呼応して、緊張が高まってゆく」

・パンフのインタビューで、出演者の方に、
スガさん本番はきっとやっちゃうと言われてましたが。

スガ
「やっちゃってます(笑)」

白井
「今日は僕に怒られてました。
 本当にその時のフィーリングでどんどん行っちゃうから。
 それも魅力なんだけど、歌い手の気持ちになったら大変です。
 本当にむつかしいのに、よく歌ってると思いますよ、耕史くんは」

スガ「奇跡です」

・山本さんは一番たくさん歌ってますよね。
 いかがですか。

耕史
「やっぱり難しいです。
 お客さんにはどう聴こえてるんだろうと思って。 
 リズムもむつかしいですよね。
 途中、手拍子が入るところ、手拍子したくても出来ない。
 クラップのタイミングがね、かっこいいんだけども。
 あ、でもそちらの二階端っこのかたはちゃんと出来てましたよね。
  (と、舞台に近い中二階の方を手で示しながら)
 僕はそういうの、意外とちゃんと見てるので」

「ハードルは高いけど、
だからこそのりこえた時に達成感があるというか、
やりがいがあります」

「普段はミュージカルって、僕らが歌いやすいように
バンドが導くって感じなんですけど、
今回は俳優とバンドが対等っていうか、初めての体験ですね。
白井さんだから委ねられた。
ミュージシャンが引っ張るのは新しい」

「お客さんもこんなに難しい曲、どうなんだろうと思いますけど、
でも耳に残るんですよね。
僕も毎日残ってますから。悪夢のように」

・ブレヒトのオペラをジャズテイストにした意味は?
大冒険ですよね。

白井
「マハゴニーは音階も内容も、反オペラ的なんです。
そのオペラ・マハゴニーから歌を抜き出したあと解体して、
組み立て直したのが今回の舞台」

スガ
「こんなに(たくさん)譜面が送られてきて…
 こんなにいらないんじゃないかって思った」

白井
「(音楽を入れるのに)消極的でね。
裁判をショーみたいにしたいと言ったら、むつかしすぎるって。
 でも見たら、あ、音楽劇みたいになってる、って(笑)」

スガ
「なると思わなかった」

白井
「もとのマハゴニー楽曲のいいとこ取りなんです。  
 あるところを抜き出して、印象的なところをリフレインして。
 コードは現代的。
 あの中尾ミエさんが、”これまで長いこと唄って来たなかで
 一番難しい”とおっしゃってました」

・不安感を持続させるような旋律、むつかしいですよね。

スガ「”生理的に歌いやすい”と思ったら、それは違う。
(つまり基本”生理的に歌いにくい”)
 たまにズルしてフラット消したりして(笑)」

・ねじ伏せる一方で

スガ
「オペラは観ないようにしてたんです。
原曲に引きずられちゃうから。
でも最近ここに来て見始めちゃった」

・演技面ではどうですか。酔っ払いの演技が多いですよね。

耕史
「八割がた酔っぱらってますからね。
酔っぱらったまま歌ってる。
酔っ払いって声が大きいですよね。声が通る。
あれは身体の力が抜けてるから。
だから意外と声が出しやすい。
こう、力が抜けてると体中が楽器みたいで響くんです。
酔っ払いの演技は体力は使うんですけど、
身体に力が入ったまま怒鳴るより、
のど的には楽。発声的には楽です。
なにしろ高いところから底の方まで、音の行き来がすごいから。
半音ぐらい間違えても気づかれないし、意外に自由。
でも、一度入っちゃうとこれしか使えない、
となるのがクルトの曲ですね」

白井
「自由になると見失うよね」

耕史
「不思議な音楽ですよね」

・よく下戸の人の方が酔っ払いの演技が上手い、と言いますが、
 山本さんは…(笑)(*実際には酒豪)

耕史
「あ、飲まない人の演技はね、
やっぱり飲まない人だな、ってわかりますね。
僕は酔っぱらった時もよく観察してるんで。
こう、急にうわっと声が大きくなったり、
瞬きが遅くなったり、(顔面芸披露)
酔っ払いの自分が好き(笑)」

・市民席については。

耕史
「360度見られてる感じだけど、そんなに近さは気にならないですね。
でも、僕は最後に、客席に背を向けて、
一人舞台に向かってデモ隊に相対するんですけど、
初日に、あれ、キャストが1.5倍に増えてる、ってびっくりしました。
圧(あつ)がすごい。
僕ら(主要キャストの意?)以外はだいたい現代人の格好をしてるから、
(キャストと観客の)違いが分からない。
意外とテンションがあがってるお客さんもいて、
最後でプラカード持つところで、舞台の真ん中に出て来たりして。
こういうふうにステージをともにするっていうことはなかなかない。
不思議な感覚ですね」

・そろそろお時間なので、
 最後に、これから来てくれる方たちに一言ずつ。

スガ
「毎日違うんで、明日も来てください!」

耕史
「演劇としても普通に面白いし、
音楽も楽しめるし、やっていて毎日新鮮です。
いろんな見方が出来るし、掘り下げられますよね。
ジムなんか人間なんだろうか、人間じゃないような気もするし。
欲望のかたまりっていうか…
そういう役に血を通わせるのは、毎日新しい発見があります。
是非また、お帰りにはチケットを買ってリピートしてください」

白井
「メッセージ色がとても強い作品。
90年前にはナチスによって上演中止になったりしてますが、
幸か不幸かこの時代にマッチしてると思う。
クルト・ヴァイルの曲は一筋縄ではいかなくて、
すごくきれいなメロディーに
ひどい歌詞がついてたりして面白い」

耕史
「最後にもう一曲、っていう時には、
普通ハッピーな曲をうたうのに、
♪死んだらそれまでだ〜 ですからね」

白井
「この作品は、この劇場でしかやれないので、
 是非ここにまた見に来てください」

たいへん楽しいトークだった。
なお、観客は観劇した席に着いたまま聞いているので、
舞台上の市民席のうち、上手奥コーナーに座っている人たちは、
舞台中央のトークゲストたちの後ろ姿しか見えない。
耕史くんはそれを気にしているらしく、
話が一段落するたびにくるっと後ろを向いて、
頭を下げたり、にこっと笑ったり、手を振ったりしていた。
その姿がなんとも可愛らしく、微笑ましく、
ああこのひとは本当にやさしくて
お茶目だなあとほのぼのとした。
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