お人好しなフツー人の内に潜在する、構想力と想像力がスピルバーグに表わされる。トムクルーズであるがゆえ『宇宙戦争』の主人公は見た目はフツー人には見えずにヒーローであるが、初盤のダメンズぶりにより、彼のフツーにどこにでもいるアメリカンメ〜ンぶりが表わされる。『ブリッジ・オブ・スパイ』の弁護士は優秀さを我々に表わすが、トムハンクスのイメージによりフツーな善人が表層的に表わされてくる。『リンカーン』におけるデイ=ルイスもまた、いつもの彼が表わす強烈さは控えさせフツー人ぶりを発揮する。彼らはプロセスにおいて、彼らに潜在する構想力と想像力を露わとしていく。そしてそれがアメリカンの普遍性であると、スピルバーグは語らしおん。普通である主人公たちをはじめアメリカ人たちは、そのサヴァイヴァーたちが生きるアメリカという場所で、免疫力を育み、共生力を持っていくのである。
アメリカンの様々な力は平等のためにワ〜クする。アメリカ人は“自由”を謳歌する。『リンカーン』と『宇宙戦争』において息子たちが戦場に飛び込むのは、愛国心というのもあるのかもしれないが(スピルバーグが子供のころ創った8mm映画には戦争映画も多くあり、またその後のテクストにおいてもパトリオット的な部分が多分にみられる)、黙っていられないことは彼ら自身の平等の権利に対する意思が働くのである。スピルバーグが制作に入る前に観る4作品のひとつが『七人の侍』と言われるが、そこにも“平等”という権利のために戦うスピルバーグの姿勢がみてとれる。
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