『
FAKE』
問題作にもいろいろあるが、これも問題作であることに違いあるまい。
ゴーストライター騒動で世間を驚かせた作曲家・佐村河内守の一件はまだ記憶にも残る。
聴覚障害があるために<現代のベートーベン>とまで祭り上げられたために、その反動も大きかった。
今回、佐村河内守に『A』『A2』などで知られる森達也監督がカメラを向ける。
ここには様々な<二人の物語>が紡がれる。
もちろん中心にあるのは佐村河内守と森達也監督であろうが、新垣隆もしかり、さらには妻との物語でもある。
舞台の大半は佐村河内守のマンション内。
ドキュメンタリーは真実のみを映し出すのか。
よく言われる問題点ではあるが、ドキュメンタリーにも作為があるのは当然だと思う。
少なくともどのカットをどう編集するかや音楽をつけるつけないなどでも印象を操作することは可能だ。
「誰にも言わないでください衝撃のラスト12分間。」とポスターにもあるので、言いにくい側面もあるが、まずは<あの事件>の顛末に興味がある人なら興味深く見ることができよう。
マスコミが作り出す幻影に操作されやすい思考停止した現代人は心してみるべきかもしれない。
報道で作り出された虚像と実像の差を考えるきっかけになるのではないか。
実のところ「最後の12分」で何が起きるのか色々想像をめぐらしていた。
しかし、そのいずれとも違っていた。
その意味では上手い宣伝文句だったともいえる。
随所にユーモラスな所が見え隠れして、思わず吹き出してしまった。
猫がとてもいいアクセントになっている。
ゴーストライター騒動の発端となるスクープを「週刊文春」誌上に発表したノンフィクションライターの神山典士が映画公開後に感想を述べている記事があったが、どうにも後出しジャンケンに思えてならない。
森監督が佐村河内を取材した期間は2014年秋から約1年半というが、取材者の先輩としてもっと協力出来たのではないか?
翻って外国人ジャーナリストの質問のキレには目が覚める。
この質問のキレは佐村河内にだけ向けられたものではないだろう。
観終って、何がFAKEなのかずっと揺さぶられている。
*参考サイト
http://www.webdice.jp/dice/detail/5136/
http://blogos.com/article/178313/
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