『
神様メール』
突然、自分の余命が分かったら人間はどうするだろう。
漫然と時間を過ごしている身には突き詰められる問題提起。
『ミスター・ノーバディ』の鬼才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督が描くファンタジック・コメディだが、かなりへんてこりん。
ブラックでシュールな世界観に父権主義の神様一家の弊害が影を落とす。
神様一家はベルギーのアパートに住んでいて、古いデスクトップで世界を弄ぶ。
横暴な神に抵抗して、勝手に余命通知を送信して下界へ旅立つエア。
エア役のピリ・グロワーヌが実に愛くるしく、彼女の自立が筋運びと相乗効果をみせる。
残り時間を意識した時に自分の本心に気が付くというのは定番ネタだが、前向きにとらえているメッセージに受け取れる。
主婦を演じる大女優カトリーヌ・ドヌーヴもこの奇妙な世界を楽しんでいるように感じた。
横暴で旧態依然とした父に反旗を翻すのが娘のエアであることが希望となっている。
子供こそ未来の象徴で、世界構築に失敗した男性(父と兄)に代わって新しい時代を築くのは女性であるべきという提言に聞こえる。
そして人々に息吹を与える娘エアは、もしかして英語のAirに通じているのじゃないかと想像してみたりする。
男性に失望しているのは冒険野郎ケヴィンの行動からも明白だろう。(笑)
余命は分からなくとも<タイムリミット>はいつか来る。
限りある時間を大切に生きるのに余命の長さは関係ない。
キリスト教圏からこうした<神様>をおちょくるような映画が登場したことに驚くが、それこそジャコ・ヴァン・ドルマル監督が(余命を悟り?)本心と向き合った結果なのかも。(笑)
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