オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展
絵画に興味がない人でもこの画家の名を知らないものも滅多にはいるまい。
その人、印象派の巨人
ピエール・オーギュスト・ルノワール。
彼の代表作である《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》や《陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)》、《ピアノを弾く少女たち》を含む100点を超える名画が一堂に会す。
(タイトルは知らなくとも誰しもが一度はどこかで目にしているだろう。)
こんな機会はめったにないので見たい…と思っていたところにマイミクさんからチケットをいただけた。感謝、感謝。
土日は込みそうだからと平日の昼間に出かけたが、地下鉄の通路にも場外馬券…じゃなくチケット売り場がでていて、「もしや“若冲展”並みの混雑だったら嫌だなぁ」と思いつつ歩を進める。
(“若冲展”は待ち時間で悟りを開くぐらいにすごかったらしいので行きませんでしたが…。)
館内は“そこそこ”入っているものの、人を見るだけというほどではなかったのにナデを胸下す。(笑)
入ってすぐに、当時「腐った肉」と揶揄された《陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)》が出迎える。鼓動が激しくなったのは、裸婦画だからではない!(苦笑)
今回の企画はオルセー美術館やオランジュリー美術館の協力で実現したようだが、かつていったフランス旅行ではどちらも立ち寄れなかったので、観るのは初めての物ばかり。
やはり代表作と言われているものは、一際目を引く。
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》の服の濃紺の色彩は印刷物では輝きが出ていない。
ギュッと“うまみ”が凝縮しているような感触を得る。(笑)
子供のころ、美術の時間で基本的に水平線は上下3分の1と習う。
自然で落ち着くバランスなのだが、この絵を見ると上の4分の1あたりに水平線がある。
それだけ下部の人々を大きく見せたかったということだろう。
ルノワールは輪郭線を描くことで表現するのではなく、光の反射を脳裏に焼き付ける描き方をする。
キャンバスを通して当時の光が感じられる。
ルノワールは、暗い絵を描かなかった巨匠としても知られるという。
確かに悲劇的な作品や陰鬱なものは記憶にない。
ルノワールにだって悩みがなかったわけではあるまいが、裸婦や花、のどかな風景、庶民の憩いの一コマを好んで描いたようだ。
人生において光を見るか影を見るか…。
そこにこそルノワールの人間性を見た思いがする。
人生に光を追い求める姿は、(印象派の)光のハイライトを捕える技術論とマッチしている。
そこには晩年まで生きる喜び、生を謳歌する姿が感じられた。
大規模なルノワール展だが、関連するテーマで他の作家の作品も見られる。
映画監督として知られる次男のジャンにまつわるくだりも少しあって、より楽しめた。
8月22日まで国立新美術館で開催中。
ログインしてコメントを確認・投稿する