『
裸足の季節』
男女平等が声高に叫ばれて幾久しいが、少しはマシになったのか?
日本でさえ不十分に感じられるが、世界には比較にならないほど因習や封建的思想に縛られて息もできないような生活もある。
本作の舞台となるイスタンブールから1000km離れたトルコの小さな村もその一つ。
両親はすでになく、祖母に育てられる5人の美しい姉妹たち。
だが、彼女たちには自由がない。
女性の地位が低いトルコでは古い慣習から男女の交遊も外出の自由も制限される。
そればかりか結婚相手も選べないなんて、とても21世紀とは思えない。
オシャレなガーリームービーっぽい瑞々しい映像と美しい5人姉妹から『ヴァージン・スーサイズ』が想起される方もいるだろう。(監督は否定しているが…)
自由がなく、自宅に閉じ込められている鳥かご状態はまるで『ルーム』のようでもある。
唯一、世界とつながっているのは部屋の窓。そこからしか自由な呼吸ができないようにあらゆるものが通り過ぎる。
家長が決めた命令に不満ながらも従うしかないのか、自分の人生を自分で決めてはいけないのか。
そこには尊い心の叫びが押し殺されているように思う。
簡単に解決策なんて見いだせないことは誰もが十分承知のこと。
ここでは、他者である自分が何をしてやれるのかを問われている気がした。
5人姉妹を演じたそれぞれのキャストが魅力的。
中でも最も活発な5女を演じたラーレの目力は強い印象を残す。
その瞳に吸い込まれそうだった。
原題は『Mustang(ムスタング)』で、タテガミのようなロングヘアを含め活発な姉妹たちを象徴する。
ニック・ケイヴとの仕事で知られるウォーレン・エリスが本作では初めて単独でスコアを担当というのも話題だろう。包み込むようなメロディーが心地よい。
少女たちを取り巻く環境は明るくないとしても、本作で長編デビューした
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督の未来が明るいのは確かだろう。
試写会@映画美学校
6月11日より シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA
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