『
殺されたミンジュ』
韓国映画界で独特の存在感を示すキム・ギドク。
海外の映画祭で高く評価されるが、近年はなんだかメッセージがむき出しになってきた気がする。
無論、それはそうせざるを得ない危機感があるからに他なるまい。
ある夜、ソウル市内で女子高生<ミンジュ>が謎の集団に捕まり殺される。
相手の正体も目的も分からないまま時が過ぎ、約一年後、武装した集団によってミンジュ殺害を実行した男たちが拉致・拷問される。
いわば寓話であるが、少し説明がないと分かりにくいのではないか。
まずミンジュという名前が<民主主義>の民主という意味らしい。
つまりは民主主義が殺されている世の中という話。
やや取っつきにくく難解な印象を残すが、その要因としては比喩描写にあるのではないか。
1人8役をこなすキム・ヨンミンが戸惑いの大きな一因かも。
役どころが善悪ともにあり、どこに線引きがあるのか分かりにくいが、<この男が負の要因>ということでは一致している。ある意味、元凶の象徴なのだ。
キム・ギドク監督は
「国家が国民に与える痛みについて描きたかった」という。
普段、我々は政治家のかじ取りが悪いと無責任に批判するだけで自分に問題があると考えようとしない。
間違った政治の犠牲になっても、されるがままでシステムに組み込まれることを良しとした時点で『共犯者』だという厳しい批判なのだろうか。
いささか厳しいようでもあるが、それぐらい劇薬じゃないと観客の心には響かないと判断したと思える。
武装集団には様々なコスプレが見られる。
どれも職業の制服で、暴力行為を伴う職業であったり権力者であったりするが、最後に出てくる制服こそ<我々の問題である>ことの示唆だろう。
アイロニー好きには楽しめるだろうが、面白可笑しい物語を求める人には整合性に乏しく理が勝ちすぎているかもしれない。
(もっともそんな人がキム・ギドクの毒映画を望まないか…)
余談だが、編集上の初歩的ミスが見られた。(テーブルのフードが突如表れる箇所がある。)
(根本理恵さんって、こういう方だったんだ)
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