『
ブリッジ・オブ・スパイ』
どんな人にも等しく人権がある。
しかし、人は当たり前のようなことをしばしば忘れる。
他人事なら客観的に判断できても自分の利害が絡むと途端にダブルスタンダードになるようでは、何とも心もとないではないか。
冷戦下の敵国のスパイのために国選弁護人を引き受けて、さらには捕虜交換にまで立ち会うというヒューマンな実話ベースの映画化。
扱う事件は古いが、テーマは近年の中東問題などにも通じる人間の心の弱さが浮き彫りとなる普遍的なもの。疑心暗鬼なチキン野郎が実権を握っているのはいつの時代も変わらないのだろうか。
コーエン兄弟の脚本とスピルバーグの演出の相性がどうかが心配されたが、杞憂に終わった。
時に人を食ったような脚本を書くコーエン兄弟だが、優等生スピルバーグが乗り移ったトム・ハンクスに腹芸で挑む悪辣権力者たちという構図が見て取れるようで興味深い。
東西冷戦物は、とかく善悪で色分けして見せることも多かったように思うが、あくまでも一個人に寄り添った描き方をしていた点には安堵を覚える。
不勉強なためトム・ハンクス以外はほぼ知らない俳優たち。
だが、実力には疑いがなく、層の厚さを感じる。
とりわけルドルフ・アベルを演じた英国俳優マーク・ライランスの物事に動じない抑えた立ち振る舞いは大物感を表す。
スタッフも超一流が揃うが、編集と撮影の上手さには舌を巻く。
かなり大胆に切り替えでつないでいても自然に感じる巧みさ…。
曖昧な光線を取り入れたヤヌス・カミンスキーのカメラもいつもながらうならされる。
東ベルリンにいって本筋とはあまり関係のないことで怖い思いをするが、後々“彼ら”が具体的に何をどうしたのかを思い返すと、スピルバーグの演出の上手さの一端が伝わる思いがした。
趣味嗜好や立場が違っても真の一流同士は理解し合えるという好例なのではないか。
捕虜交換に使用される“架け橋”は公平さを保つためだけの場所の意味ではないはず。
ところで、今日は午前中からニュースがいっぱい。
GG賞の受賞結果に驚いたり感心したり…。
『レヴェナント:蘇えりし者』と『オデッセイ』組が強くて、事前の評判が高かった『スポットライト』『キャロル』組が振るわなかったのは少し意外な気も…。
オスカーでの巻き返しがあるのか?
今年こそレオ様には受賞して呪縛を解いていただきたいものだが、またもや伏兵にさらわれるか?
そして夕方に衝撃のニュース。
David Bowie逝去の一報だ。
新アルバム発売したばかりで、今年は活発に活動するものとばかり思っていたので驚きでした。
音楽界ならず、映画やファッションなど幅広いジャンルに影響を与えた時代のアイコンがなくなったのは大きな喪失感である。
知り合いの漫画家さんで大ファンの人がいるのだが、心中を察して余りある。
私はそこまでファンじゃないので探してみたけど、7タイトルくらいしか所有していなかった。
新アルバム『★(ブラックスター)』はアマゾンでは一時在庫切れになっている。
他のCD店でもしばらくはそんな感じかな?
とりあえず探してみようっと。
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