
『黒い雌鶏』@
フィルメックス
2001年、内戦下のネパールを舞台に一羽の雌鶏をめぐって繰り広げられる騒動を少年の目線で語る。
カーストの差をものともせずに友情を育むプラカシュとキラン。
ある時、プラカシュは可愛がっていた雌鶏を大人の身勝手な都合で売り飛ばされてしまい、取り戻そうと少年たちは探しに出るが、そこで見た光景とは…。
ネパールでは諸国より遅れて毛沢東主義派(マオイスト)が入ってきたそうで、1996年より内戦状態となったそう。
どこでも似たような話だが、大国の都合で振り回される小国の悲劇は、大人に振り回される子供たちの姿と重なるようだ。
貧困・教育問題・身分制度など社会問題を含む。
内容の深刻さに比べ、コミカルな側面が笑わせる。
タイトルの黒い雌鶏の意味が分かった時には爆笑ものだったが、よくよく考えるとこれは結構意味深ではないか。
子役は現地の素人をキャスティングしたのだろうか、素朴さはリアリティを感じるが芝居はぎこちない。
荒涼とした風景がもう一つの主役のようで、見るものを圧倒する力がある。
ミン・バハドゥル・バムの長編デビュー作。ヴェネチア映画祭批評家週間の最優秀賞を受賞。

『大恋愛』
日本ではあまり公開されていないピエール・エテックスの旧作『大恋愛』(1969年)がリマスターされて日本初公開。
ジャック・タチのスタッフとして働いたこともあるそうで、なるほどとうなずける軽妙さとチャーミングさを備えたコメディ。
これまで公開されなかったが惜しまれる。
義理の父の工場で管理職につくものの、単調で面白味のない生活に満足してない。
だが、ある日飛び切り若くて美人の秘書がつくこととなり、妄想に明け暮れるようになる。
さて、恋の顛末やいかに。
いかにもジャック・タチの世界に通じるオシャレで可愛らしい作品。
小道具類の使い方も上手くて、ベッドを自動車に見立てたアイディアは秀逸。
流れるようなカメラワークもツボを心得ている。
監督自身が道化師として活躍したというように、サーカスのピエロが演じそうなコントを思わせるおかしさがある。
美人秘書役のニコール・カルファンはこれが映画デビューという。
監督の慧眼は確かだ。
他の作品も公開もしくはソフト化しないだろうか。
再評価されるべき一人かもしれない。
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