第12回ラテンビート映画祭

『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督らしいぶっ飛んだノリのブラックコメディ。
大晦日に音楽番組を流すのは日本くらいかと思ったら、スペインでもそうなのか?(笑)
ただし生ではなく収録のようだが(8月!)、放送予定の番組収録中に事故で客席に欠員ができて、凡庸な男が選ばれるところから始まる。
一晩どんちゃん騒ぎになるはずだったが、事態は思わぬ方向にエスカレート。
人間の欲には<
金銭欲・出世欲・色欲>と様々あるが、それらをまな板の上にあげて一刀両断にした感じ。
番組のトップバッターとして登場することにやっきになる歌手たち。
人気歌手をゆすって金をせしめようと企む輩。
全員ろくでもない人物ばかり。
世の不況が根底に流れているのか、パーティーの陽気さとは真逆の深刻さが顔をのぞかせる。
そうした世間とは乖離した異常な世界をギャグで切り取っていく。
放送が年末なのに収録時期が反対の夏というのも意図を感じる。
イグレシア監督らしく振り切ったエゲツない笑いに満ちている。
笑っていいのか心配になるくらい。
相当早口なので、字幕の分量は追いついていないだろうが仕方ない。(笑)
スペイン往年の大スター、ラファエルが久々にスクリーンに出演したことも話題だったらしい。
日本だと誰クラスなんだろう?

『ザ・キング・オブ・ハバナ』
タイトルにあるキングが皮肉な響きを持つほどの底辺に生きるレイナルドの一代記。
<巻き込まれ人生の悲劇>とでもいうべきか冒頭ではコメディなのかと感じさせたが、あっという間に奈落の底へ叩き込まれるレイナルド。
レイナルドの“レイ”がスペイン語で王様を意味することから<ハバナの王>とあだ名にされるが、なんともシニカル。
レイナルドは少年院を脱走して、チンピラや売春婦、物乞いなどの住むスラム街で暮らし始める。
彼のなりふり構わぬ生き方を通して90年代後半のハバナ社会の底辺の生活が語られる。
どこへ向かうのかさっぱり読めない展開に目が離せない。
何かと瞬間湯沸かし器並に感情的になるキャラクターたちは、(失礼ながら)さすがラテンの人々と思う。(笑)
とかく現代日本を表すのに閉塞感という言葉が使われるが、この映画を見ればジョークにしか感じられまい。
設定だけ聞くと陰気な作品を想像するが、至ってポジティブなのである。
悲運しか待ち受けてなくともへこたれずに生き抜こうとする姿は、共感できなくとも教えられるところはある。
粗野なのに誰からも好かれる不思議な魅力の持主。
ゲイの隣人に同じハバナ舞台の『苺とチョコレート』を思い出した。
監督は『ブラック・ブレッド』のアグスティー・ビジャロンガ。
キワドイというかモロだしだったのが衝撃的。(映画祭ならではだな。)
一般上映だったら間違いなくボカシが入るだろう。(苦笑)
ログインしてコメントを確認・投稿する