『
顔のないヒトラーたち』
多くの戦争体験者の口々から「二度と戦争をしてはならない」と聞かされる。
その悲惨さは体験したものでないと分からないのかもしれないが、それだけに忌まわしき過去は風化させることなく語り継がれるべき。
キチンと向き合うことこそ、真の意味での前進だとは思うが、人間は誰しも辛いことはしたくないし見たくない。
ドイツの歴史認識を変えたと言われるフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判に至る過程を<再現ドラマ>のように一人の正義感あふれる若き検事ヨハン・ラドマンの目を通して詳細に語られる。
戦後処理で高く評価されるドイツも実は1960年前後くらいはそうでもなかったという事実は興味深い。
いくら歴史に疎い私でも<アウシュヴィッツ>の名前くらいは知っているので、ドイツ人なら当然知っているものとばかり思っていた。
表舞台からナチスは消えたと言っても裏ではまだ存在感を示していて、取り締まりの甘い警察とヤクザの関係にも見えてくる。
過去に気がつかないふりをして生きる戦後直後のドイツ人。それは主人公が最も身近である父の秘密を知らなかった事と結びつけているのだろうか。
アウシュヴィッツの悲劇を一人の父親の話に集約したのは、インパクトを与えるために良いアイディアだと思った。
ヨハンの恋人マレーネとの洋服を使っての“愛の会話”は楽しんだ。
ただ映画としての志は立派だし記憶されるべき内容だが、芝居が<再現ドラマ>の域を出てないため映画史には記憶されにくいのではないか。
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