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2015年06月17日23:48

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『約束の地』

『約束の地』

 一般公開としては本邦初公開というアルゼンチンの鬼才リサンドロ・アロンソ監督の長編5作目。
カンヌで国際批評家連盟賞を受賞したために日本公開が実現したのか。
主演ヴィゴ・モーテンセンがプロデューサーも務めるが、幻想的シーンや長回しにロングショットも多くて中々手ごわく、鬼才と言われる所以に合点がいく。

 1882年、南アメリカ・パタゴニアでアルゼンチン政府による先住民掃討作戦が行われ、そこに参加したデンマーク技師が体験した話。
歴史ものを思わせながら終盤は予想もせぬ展開に…。

 一人娘インゲボルグを連れてきたディネセン大尉は、失踪した娘を探して荒野を彷徨う。
冒頭で親子は寄り添いながらも反対方向を向いた状態でポーズを決めているあたりから意味深な描写の連続。
美しくも厳しい“かの地”の自然描写が延々と映し出されるのだが、何やら暗喩めいた展開と、あっけにとられる結末にしばし呆然となる。

 比較にアレハンドロ・ホドロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー、デヴィッド・リンチなどの名前があがるそうだが、それもなるほどと頷ける…。
極めて純度の高い美学を見せている…のだとは思う。(理解度が低いので…)

 スタンダードに角丸という特殊なフレームを使って描かれているのも、ある種のノスタルジックさだろうか。
色彩も人工着色っぽい色合いを見せる。昔のモノクロ写真に着色したような雰囲気も感じさせる。

 ロケーションでさえセットにも見えるような作りこみも独特で、美学の一端を担う。
アキ・カウリスマキ監督作品で知られるティモ・サルミネンの撮影が唯一無二の作品に仕立て上げている。
各人の芝居がかった演技も寓話的な演出か。

 ヴィゴ・モーテンセンはNY生まれだが、幼少期をアルゼンチンで過ごしたという。
そういう多言語に堪能な経験が生きたと思う。
本作では音楽までも手掛けたというからマルチな才能には驚くばかり。
(やや唐突な印象もなくはないが…)

フォト


 原題のJauja(ハウハ)とは豊穣とか理想郷の意味らしい。
はたして誰にとっての理想郷だったのか。そして<そんな理想郷は存在したのか>…、などと色々と考えながら帰途につくのも、たまにはいいのではないか。
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