『
わたしに会うまでの1600キロ』
どん底でもがき苦しむ底なし沼から這い上がるには自分と向き合う旅が必要だった。
たった一人で1600キロに及ぶパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を約3か月かけて歩いたシェリル・ストレイドの自叙伝『WILD』の映画化。
主演は本書に感銘を受けたというリース・ウィザースプーンがプロデューサーを兼任。
監督を『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレが務める。
シェリルが26歳の頃はまさに人生のどん底で、いたたまれなくなっての行動。
ありがちではあるが、それゆえに共感できる点はあるだろう。
自己啓発のような邦題になっているが、気持ちは分からなくはない…。(ただなぁ…苦笑)
“背負いきれない”ほどの重いバックパックは、彼女の人生を如実に物語る。
必要と思っても余計なものを持ちすぎていることを自分では気がつかないもの。
荒野で一人道に迷う姿も何をかいわんやである。
精神的に参っている時に肉体を使うこと大切さは理解できる。
雄大で過酷な大自然の中では、一人の人間の悩みの小ささなんて知れている。
過去の映像が挿入されるのもよくある手法だが効果的。
タフなコースを一人で完遂する決意にこそ、すでに新たな一歩が刻まれていた。
しかし
いくら童顔とはいえ、さすがに一回り上のウィザースプーンはギリギリかも。
実年齢はお母さん役のローラ・ダーンと10歳くらいしか違わないんだもの…。(苦笑)
ただお芝居は別で、この二人が実に素晴らしい存在感を見せる。(オスカーにWノミネートされただけはある。)
貧乏で挫折続きの不幸な人生ながら常に明るさを失わない母親は、シェリルにとってどういう存在だったのか手に取るようにわかる。
さすがにスタッフやキャストが一流なので、感動的に手際よくまとめていると思った。
自然光のみの撮影もこの作品には合っている。
作者もカメオ出演しているが、そればかりか娘が幼少時の役で出演。
中々粋な配役だ。
見どころの一番は、やはりPCTの景色だろうか。
ロケにはかなりこだわりがあったようで、作者も納得する選択だったようだ。
次のチェックポイントに荷物が届けられているなど、あちらのハイキングの様子が中々興味深い。
8月28日より公開
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