『
ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』
英国ロンドンのナショナル・ギャラリーに巨匠フレデリック・ワイズマン監督が3か月潜入したというドキュメンタリー。
最近、美術館ネタのドキュメンタリーが目に付く。
需要があってのことだろうが、どこに主眼を置くかは興味深いところ。
むろん、美術館の主役は展示品に他ならないが、その運営や裏方の仕事にも美術愛好家なら興味を持って見られるのではないか。
時に美術の授業のように、またある時は経営学を聞かされるようなレクチャーにはただ聞き入るばかり。
ルーブルやMETなどと比較すれば決して大きい美術館とは言えないが、歴史があり人気の高さは決して見劣りはしまい。
しかし、老舗ゆえの悩みも抱える。
マンネリ打破したいが、安易な企画は権威に傷をつけかねず、また公平性を保つことも難しくなる。
<
限られた予算でイメージを壊さずに新しいことに取り組む>という課題は他の業種にも通じることだろう。
個人的には経済的な考察よりも、日ごろ目にする機会が少ない修復家の仕事やあちらの専門家による美術品の解説が楽しめた。
キュレーターも人間、展示を巡っての論争にしどろもどろになるあたりも面白い。
レンブラント絵画のミステリーに迫るくだりは思わず身を乗り出してしまった。
日本の美術館が全てそうとは限らないが、有名で権威ある美術館は比較的観客と距離がある気がする。それを思うとナショナル・ギャラリーは観客にとっては身近な存在なのではないか。
(絵を描くなんてもってのほか、メモを取るのにも鉛筆だけとか)何かと敷居が高い日本と比べると羨ましい気にもさせられる。
「芸術に正解は一つではない」というセリフが象徴しているのだろう。
“ありものの素材”を見つめ続けた3時間の上映の最後に、本作のための演出が見られる。
過去のワイズマンの仕事を思えば頷けるギフト。
さすがに上映時間は長い気もするが、訪れたことがある人にはさらに深みが増すだろうし、まだの人には興味がわくと思う。
少なくともいつか訪れるときの予習にはうってつけの教材に思えた。
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